絡まりアイ (ｔ) (ページ8)

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「ふふふっごめんごめん。あ、ねぇ、もうご飯食べた？」

「いや、まだですけど…。」

「じゃさ、付き合ってくんない？ご飯1人で食べるのちょっと寂しいなーと思ってたんだよね。」

「…ええええ？！いや、だめでしょ！」

突然の誘いに、一歩下がって手でバツを作って断った。

「ええ、なんでよ。いいじゃん、ご飯まだなんでしょ？」

「だっって、アイドルがこんなよく知らない一般人とご飯なんかだめですよ！」

「笠井ちゃんは友達だからいいでしょ。」

「ぅええっ友達？！いつのまにっ？」

「一度会ったーら友達で♪ ってゆーでしょ？」

「い、いうけど…！でもっ」

「はい、いーから行くよ～」

ガシッと手首をつかまれて、ぐんぐん引っ張られて行く。

あれよあれよという間にタクシーに押し込まれてしまった事実に呆然とする。

「笠井ちゃん、こんな簡単にタクシーに連れ込まれたらだめじゃん。」

「いやだから、連れ込んだ本人に言われても…。」

「ふふっこないだと同じだ。」

それだけ言うと、彼はさっと窓の外に視線を向けた。

手首はまだ握られたまま。

このままだと心臓がもたないので、勇気を出して声をかける。

「あの、もう、逃げたりしませんよ。ご飯、行くので離してくださいよ。」

瞬間、パッと手が離される。

「今日、お魚の気分だから、それでいい？」

顔は外を向いたまま、手を離したことには何も触れずに話が続く。

「はい。あ、でもあんまりお高いと、そんなに今日持ち合わせが…。」

「ふふふ、だいじょーぶだいじょーぶ。ほんと、笠井ちゃんっておもしろいね。」

「今、おもしろいパートありました？」

「うん、あったあった。あ、もう着くよ。」