絡まりアイ (ｔ) (ページ35)

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「なんかすみません…よろしくお願いします。」と言いながら車に乗り込んだ。

「横尾さん、なんでここに？」

「そこ、テレビ局でしょ？仕事帰りなのよ。」

「あ！なるほど！」

私の会社の近くには大きなテレビ局のビルがあり、同僚がよく有名人を見かけたー！とはしゃいでいたのを思い出した。

私はといえば、ボーッとして周りを見ていないのか、ほとんど有名人にす気づいたことはなかった。

「ふははっAちゃん、俺らがテレビの仕事してるの忘れてたっしょ(笑)」

「いや！そんなことないですよ！ただ私ほとんど芸能人とかに気付かなくって、テレビ局が近いこと忘れてました。」

「近いって、やっぱこの辺なの？職場。」

「はい、すぐそこなんですよ。」

他愛もない話をしながら車は進んでいく。

相変わらず横顔が綺麗で、あまり彼の方は見れない。

「ねぇ、軽くご飯食べていかない？」

「あっはい！でも横尾さんまた車だと申し訳ないです…。」

「んーそしたら俺んち近くでもいい？帰りタクシー呼ぶし。」

「どこでも大丈夫ですよ。むしろ、タクシーも自分で呼びますし電車でも帰れるので気になさらずです！」

「ははっやっぱAちゃんおもしろいわ。」

横尾さんは私をお店の前で降ろして、車を置いてくると言って走り去って行った。

そこは、こじんまりとしたイタリアンのお店で、空いていたカウンター席で待っていると、カランカランとドアベルが鳴り、横尾さんが来た。

「っおまたしぇ」

少し息の上がった舌ったらずな台詞に自然と笑顔になってしまう。

「いえ、急いで来てくれたみたいでありがとうございます。」

「んー。」と言いながら、てろんとしたゆるめのシルエットの服をパタパタとして熱を逃がしている。

綺麗な手でメニューを広げ、オススメを教えてくれた。