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いくつか料理を頼んでから乾杯をする。
「一緒にお酒飲むの、あれ以来ですね。」
「あ〜恥ずかしいからあん時の話禁止(笑)」
「ふふっ。今日はどんな感じになるか楽しみにしてます(笑)」
「Aちゃんも結構言うね〜」
それなりにお酒も進んできた頃、玉森くんの話になった。
「そういえばさ、この間車で送った時、玉に見られてたらしいの聞いた?」
「あ、聞きました。なんか、その、変な風に見えたみたいで…。」
かすかに横尾さんが笑ったように見える。
「変な風に、ってどんな?」
「えと、あの、こんなこと言うのおこがましいんですが…」
「うんうん。」
肘をついてこちらを見て、先を促す彼。
「あの、距離が近く見えたみたいで、その、付き合ってるのっ…て聞かれました…。」
こんなこと玉森くんの勘違いでも口にするのが恥ずかしいくらいで、顔が真っ赤になっていくのがわかる。
「顔真っ赤。そんな照れなくてもいいのに。」
ふわっと軽く握ったままの横尾さんの指が頬に触れた。
頬に当たる指の関節がゴツゴツしていて男の人を感じて、余計に顔が赤くなっていく。
「照れるってゆーか、分不相応すぎて申し訳ないってゆーか…。それに、玉森くんもよくそんな勘違いしましたよね…。横尾さんが私となんてあるわけな
言い終わる前に親指でグイッと顎を持ち上げられ、彼の顔の方を向かされた。
視線の先にはにやっと笑う彼の顔。
「ないことも、ないんじゃない?」
名残惜しそうにゆっくりと手が離れる。
このまま彼の目を見ていたらアブナイ。頭の中で警鐘がなった気がして、パッと視線を逸らして残っているグラスのお酒を一気に流し込んだ。
「ぷはぁ。横尾さん、からかわないでくださいよ…。」
「ふはっごめんごめん。顔真っ赤にしてるの見たら可愛くて、つい。」
「もう…」
「ごめんって。ほら、次、何飲む?」
クスクス笑いながら、メニューを渡してくる。
じとっとした目で彼を睨んでも一切動じていないのがなんだか悔しくて、ついお酒が進んでしまった。
まだ週始めなのに帰る頃には、かなり酔いが回ってしまっていた。
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作者名:kainaniak2 | 作成日時:2019年7月21日 1時