絡まりアイ (ｔ) (ページ3)

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「うわ、あの一瞬でよくここまでってくらい盛大に絡まってる。」

たしかに、彼のニットと私のネックレスは、ちょっとやそっとじゃ離れなさそうなくらい複雑に絡んでいた。

「うーん、お兄さん、このあともう帰るだけですか？」

「え、あ、うん。」

「それでしたら、ネックレスごと持って帰っちゃってください。これ、もう捨てようと思っていたので、家に帰ってハサミとかでちぎってもらって構わないです。」

実はこのネックレス、半年前にフラれた元彼にもらったもの。

デザインが気に入っていたためつけていたが、そろそろ捨てるいい機会かな、と思ったのだ。

少しだけあった未練もこれで綺麗さっぱりなくせそうだし。

「は？いやいや、そんなんダメでしょ。」

「いいんですいいんです。本当に捨てようとしてたものだし、少し嫌な思い出もあるので、ちょうどいい機会かなって。…あ！嫌な思い出があるなんて言ったら持って帰りづらいですよね…でも大丈夫です！私にとってってだけで、不幸を招くとかそういったものではないので！」

必死にしゃべっていると、彼が突然笑い出した。

「あはははっ(笑)分かった、これじゃあ持って帰ってちぎって家で盛大に厄祓いすることにする(笑)」

パッと顔を上げると彼はくしゃっとした顔で笑っていた。

「だ、だから厄とかついてないので！」

必死に弁解すると、彼は「分かった。分かった。」と言いながらさらに笑う。

それを見てたら私もなんだかおかしくなってきてしまって、2人で笑いあった。

「おねーさん、ここよく通るの？」

ひとしきり笑ったあと、彼が尋ねてくる。

「はい、まぁ家近いので。」

「見知らぬ男に家近いとか、そーゆーこと言っちゃダメだよ。」

「す、すみません…」

「ふふふ～気をつけてね。じゃ、おれ帰りまーす。」

「あ、そうだ、これ落としてましたよ。」

「え、拾ってくれたの？うわーありがとうございます。」

「いえ、届けられて良かったです。それでは」

「転ばないようにね～。」

ひらひらと手を振りながら、ゆるい雰囲気で去っていく彼を数歩だけ見送って私もアイスを買いに向かった。