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自販機で何買おうかと悩んでいると、誰かが階段を降りてくる音がする。

気になって見てみると__




「君は・・・」

「初めまして、Aさん。俺は『三輪秀次』って言います」

「三輪さん、か。何歳ですか?」

「13です。俺の方が年下ですし、呼び捨てで大丈夫です」

「そっか。三輪君、宜しくね」




『三輪 秀次』

よく覚えている。

プログラムで作られた近界民(ネイバー)に向かって行く姿は、見ていられない程、彼から近界民(ネイバー)に対しての憎しみを感じた。




「・・・Aさんは、近界民(ネイバー)の事、どう思いますか」

「え?どうして?」




三輪君がどうしてそのようなことを聞いたのか分からなかった。




「聞いたんです。・・・Aさんのお兄さんが近界民(ネイバー)に殺されたって事を」

「!!」




私は無意識に右耳に着いた黒トリガーに触れる。




「俺、姉がいたんです。でも、目の前で殺されて・・・!」




だからあの時の様子が、あんなにも・・・。




近界民(ネイバー)は敵だ・・・!!』




私と似た境遇をもっていたんだ。

同情の心が湧く。




「Aさんも近界民(ネイバー)のこと、恨んでいたりしますか・・・?」




三輪君が私に尋ねる。

確かに近界民(ネイバー)は憎い。

でも、それ以上に___




「・・・私が弱かったから、兄さんは私をかばって・・・」




黒トリガーを三輪君に見せる。




「・・・この姿に変わり果てちゃった」

「・・・え?」




三輪君はわからない、と言いたげな表情で私を見る。




「“黒トリガー”っていうものでね、命とトリオンを注いで作られたものなの」




ここで言ったのは内緒ね、と口元に人差し指を当てて言った。




「だから私は・・・、近界民(ネイバー)が憎いよりも、無力だった自分が“憎い”」




手に力が入る。

ヌルッとした感覚がして、手を広げると、血が出ていた。

どうやら強く握りすぎたみたいだ。




「Aさん、医務室に行きましょう。俺が手当します」

「ええ、申し訳ないよ。自分でやるよ」

「いいえ。俺も行きます」




三輪君に引っ張られて医務室に入る。

椅子に座らされ、救急箱をもって三輪君が戻ってきた。




「・・・Aさんを始めて見た時、姉さんみたいで気になっていたんです」

「私が?」




三輪君が私の手を治療しながら言った。

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恵野(プロフ) - functionさん» コメントありがとうございます!あ、アドバイスですか!?原作の設定をしっかり理解出来ているなら、大丈夫だと思いますよ!差し支えなければ、貴方様の作品を見に行かせて頂いてもよろしいでしょうか?陰ながら応援してます! (2020年5月24日 17時) (レス) id: d3fd993259 (このIDを非表示/違反報告)
function - とてもおもしろいです!引き込まれます♪私もワートリの二次創作小説を書いているのですが、何かアドバイスいただけないでしょうか。 (2020年5月24日 17時) (レス) id: a26c61826f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:恵野 | 作成日時:2019年3月3日 19時

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