包帯無駄遣い装置の妹さん【文スト】

No.31 ページ33

｢よく似合ってるよ時祢ちゃん!｣



｢ほんに愛らしいのう…｣



｢時祢、とっても綺麗よ!｣





時祢は鳶色の瞳を瞬かせた。



潜入捜査の衣装を選び始め、早五時間。



漸く決まった服は、純白の襞のドレスだ。



髪には同じく白のリボンが二つ飾られている。



顔も軽く化粧を施されていた。





｢此のリボンには盗聴器を仕込んでおくから、外してはいけないよ。あと、ドレスで隠れてみえない部分にナイフを仕込んでおくんだよ｣



｢いざと云うときは異能を使うのじゃ。中也に御主の上達ぶりは聞いておる｣



｢それと、此の腕飾りの釦を押せば直ぐに戦闘部隊が乗り込む。危険になったら押すようにね｣





大人達が彼女に起こす怒濤の心配の嵐。





｢分かった。頑張る｣



｢必ず無事で帰るのじゃぞ？｣



｢うん｣





紅葉が優しく時祢の頭を撫でる。



森は写真撮影に急がしそうだ。



其処に、任務を終えた太宰が入ってきた。





｢失礼します………!｣



｢あ、太宰君。任務お疲れ様｣



｢おお。来たか。どうじゃ、愛いじゃろう｣





紅葉が時祢の背中を彼の方に押す。



太宰は時祢に歩み寄って屈み、彼女の頬を手で包んだ。





｢凄く可愛いよ、時祢｣



｢有り難う｣






少し擽ったそうに目を細める時祢を柔らかい笑みを浮かべて撫でる太宰。



微笑ましい光景を、先程迄騒いでいた大人達は見守っていた。

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