No.20 ページ22
私と時祢は、薄暗い地下室に居た。
私達の前には、猿轡をされ縄で縛られた中年の男。
其の男の恐怖に染まった目が、私達を見上げている。
「此の男はね、マフィアの下級構成員に支給される拳銃を横流ししようとしたんだ。品は未だ見付かっていない。能力を使って口を割らせる」
「…分かった」
時祢が前に出た。
そして、男に向かって右手を翳す。
「__________異能力【桜桃】」
瞬間、男が気を失った。
時祢は目を瞑っている。
彼女自身の精神を、異能力の空間に入れているようだ。
私は少し目を伏せた。
******
男は、壁も床も真っ白な部屋に居た。
先程迄自分は縄に縛られ、幹部と見知らぬ少女に見下ろされていた筈。
混乱していると、目の前に少女が現れた。
咄嗟に何故か腰にあった拳銃を抜き撃つが、当たらない。
というより、すり抜けているようだ。
「な、何だ!?何で当たらない!」
何度も撃ち、遂に薬莢が尽きた銃を取り落とし尻餅をつく。
少女は男に向かって足を進めた。
「此処は精神世界。私の実体は存在しない」
「はっ…お、俺を如何するつもりだ!?」
「口を閉ざしたり、嘘を吐く判断力が無くなる迄此処に居てもらう」
硝子玉のような瞳に本能的な恐怖を感じ、冷や汗を流し乍ら手を使って無様に後退る男。
其の男の背中が、何かにぶつかった。
咄嗟に振り返った男の目に映ったのは、振り下ろされる日本刀。
肩から腰にかけてを斬られ、絶叫する男。
少女の唇が、静かに動いた。
“御免なさい”
死に至る度に幾度も繰り返される、無慈悲な殺戮が始まった。
898人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:凛 | 作成日時:2018年8月14日 11時