検索窓
今日:49 hit、昨日:30 hit、合計:741,452 hit

No.18 ページ20

「そう言えば、時祢ちゃんは異能は持ってるのかい?」





森さんの言葉に、私は遂「あ」と声を漏らした。



色々慌ただしかったので、未だ聞いていない。



昨日購入したシャツワンピを身に付けた時祢は少し沈黙した後、頷いた。





「孤児院の人に知られたくなかったからあまり使ったことは無いけど、持ってる」



「ほう。其れはどんな異能力かな?」





目を鋭くする森さん。



異能を持っているということは、彼にとっての価値が高まるということだ。





「【桜桃】っていう異能力。桜の花弁を硬度や動作まで操る」



「其れは便利な能力だね」





捕縛などにも利用出来る、戦闘系の異能力だ。



恐らく鍛えれば、かなり大きな武器になるだろう。



森さんが目を細めている。





「________あと、一つ」





時祢が、云った。



少し顔を俯けている其の様子は、口にすることを厭がっているようだった。



森さんは無言で先を促す。



時祢は、唇を開き、言葉を紡いだ。





「異空間に人の精神を閉じ込めて、痛みを感じる精神だけの状態で、私が異能力を解く迄永遠に死を繰り返す」





私は思わず息を呑んだ。



精神操作系の、異能力。



異能力の中でも特に忌み嫌われ、畏れられている。



それに彼女の云い方だと、やろうと思えば廃人にすることも出来るのだろう。



…拷問にも、特化している。





「成る程…」





森さんが唇の端をつり上げたのが、見なくても分かった。



そして次に云われることも予測出来る。



初めて、自分のよく回る頭を恨んだ。





「太宰君」



「…はい」



「明日から、時祢ちゃんの異能力の練習を開始しよう。物理攻撃の方は中也君に頼む。精神操作は____君に任せる」





其れは、拒否を赦さない命令。



私は無言で頭を下げた。



森さんに見えないように、キツく唇を咬んだ。

No.19→←No.17



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (585 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
898人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年8月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。