噂話が1つ ページ1
鬼の副長に好い人がいる。
そんな噂話は瞬く間に江戸中に広まった。
どうやら、夜道を仲良さげに歩く2人を見た人がいるらしい。
「ッチ、誰だ覗き見しやがったのは」
「知らないよ私に聞かれても」
噂が広がり、会うにはリスクが高すぎる日ではあるが緊急会議を開くことになった、当人である土方十四郎と私。
「ていうか!どういうこと!あんた私のこと好きなの!?」
「んなわけねぇだろ!噂だろ!?何ムキになってんだよ!」
「ムキになってるのはあんたでしょ!」
噂のせいで肩身の狭くなった私達は人目につかないようにと、人が少ない時間帯を見計らって個室の飲食店に入店した。多少人目が気になるが仕方がない。
「さて、本題に入ろう」
「あぁ、そうだな。」
私達はもちろん噂のような恋仲ではない。ただの飲み仲間である。出会いも居酒屋。たまたま隣のカウンター席に座っていた彼に酔った勢いで酒をぶちまけたのがきっかけである。なんとも酷い出会いであるが、意外と話は合うし一緒に居て気が楽だった。一人で飲むよりも、楽しかった。
きっと、噂になってしまったのは高頻度で飲みに行っていたからである。その度に私がフラフラになるまで飲んで、彼に介抱されてたのが原因である。ごめんなさい、土方十四郎くん。きっと鋭い彼のことだから原因が私であることは気付いているだろうけど言わないのは優しさだろうか。
私がいつもお酒が入ると仕事の愚痴しか言わないから気遣ってたりするのだろうか。
君の優しさに甘えようじゃ……
「ま、原因はお前だな」
ちょ、おま!!!!今君の優しさに甘えようとしたところなのに!!裏切ったな!!
無駄整った顔が此方をじっと見つめてくる。怒ってはなさそうだが、かといって平常ではないようだ。
そして、何かを決心したのか、キリッとした顔つきで
「飲むのしばらく辞めるか」
と。すかさず私は即答。
「え゛無理」
ちょっと有名な企業の秘書を務めている私。社長がクズすぎて仕事が山ほどある。自身の仕事に加え、社長の仕事もしているのである。社長の人間性も私とは合わないのだ。
そんな時、お酒を飲んで愚痴(聞いてくれる人がいないとダメ)って翌日のやる気スイッチを入れている。なのでその機会がなくなると困る。非常に困る。
即答された目の前の彼は困ったように頭を降った。
「噂、加速してもいいんか」
「嫌だね」
「じゃあ辞めようか」
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とろん(プロフ) - いくまさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!緩やかな更新ですが気長に待っていただけたら幸いです。 (2020年11月1日 19時) (レス) id: b5e3f4e0ac (このIDを非表示/違反報告)
いくま(プロフ) - ファンです。何時も応援してます。更新頑張って下さい。滅茶苦茶応援してます。本当にファンです。 (2020年10月24日 19時) (レス) id: de9f3ec973 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とろん | 作成日時:2020年9月15日 10時