儚く愛おしい君に送るアイの唄

６ ページ6

次の日、いつものように朝目を覚まして背伸びをする





今日は日曜日
外では、子供の声が聞こえて楽しそうだ






あ「ああ、もう１１時か・・・」







めざましかけてなかったから、かなり寝過ごした
そういえば、カノはどこいったんだろう






隣にカノはいない
キョロキョロとあたりを見渡すと、ガサゴソと新聞紙に丸くなっているカノを発見した







あ「カノ、何してるの？」





カノ「にゃー！！」







ビリビリに破いた新聞紙
何かの遊びなのかなと思うと少し笑えてくる。まるで、子供みたいだ








・・・こんなに楽しいのに、お別れか
さみしいな








私服に着替えてコートを着る








あ「カノ、おいで」







私が呼ぶとてってってっと小さな足で私のもとまで走ってくる
その姿を見ていると、とても捨てることができなくなって困ったしまった








あ「・・・ごめんね、君をここには置けないんだ」







一言いってカノを抱き上げる
意味がわからない様子で大人しくしてくれているから、たやすく家からでて橋のしたの雪がそれほどないところまできた








あ「・・・ここで、さよならだ」






カノ「っ・・・」







震える手でカノを置いて、振り向かずに歩く






一日しかいなかったのに、こんなに悲しくなるなんて私って涙腺ゆるいのかな・・・







あ「はあ・・・・」







心臓がズキズキと痛む





また、再発でもしたのかな？
いや、いつもの発作なんかよりもっといたい








カノ「にゃー！！」







後ろから鳴き声が聞こえてくる
ダメだ、ダメだ・・・振り返っちゃダメ・・・








自分に暗示をかけるように、足を動かしていく






[カノside]



言われている意味が分からなかった





あ「さよならだ」






そういって振り返らずに歩いていく女の子の背中を僕は眺めているだけだった
一日しか一緒にいなかったのに、ものすごく心細くて嫌な気持ちになってくる・・・






カノ「ヤダ・・・行かないで・・・！！」








小さな足で雪道を追いかける







それでも追いつかなくて、僕は必死に走って追いかける








カノ「・・・ヤダ、やだよ・・・！！もう、一人にはなりたくない・・・」








必死に叫んでも、届かない






言葉が届かなくて、どんどん僕は切なくて悲しくなっていく








カノ「・・・なんで・・・」








なんで、伝わらないの・・・

７→←５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す