儚く愛おしい君に送るアイの唄

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嫌いな匂いがする
鼻にツンとくる消毒の匂い、心拍数を知らせる機械の音





その全部が嫌い






腕からつながれたゴム線から流れて体に入る点滴と、二酸化炭素を白い煙にしていく酸素ボンベ







あ「・・・」








そして、目を開けば何もない真っ白な天井







なんで、またこんな嫌いな箱庭にいるの？







シンタロー「お、目覚ましたか」





あ「シンタロー・・・？」






シンタロー「ああ、俺の声聞こえてるか？」








ぼやける意識の中、シンタローの顔だけが見えた
見ていたスマホをしまってシンタローはため息をつきながら安心したような顔になった







あ「なんで、私またここにいるの？」




シンタロー「覚えてねえのか？お前、３日前に道端で猫と一緒に倒れてたんだぞ。俺が通りかからなかったら凍え死んでいたんだから、感謝しろよ」







猫？





・・・そうだ、カノはどこ？あのあと、一体どうなったの？








バサッとベッドから起き上がると、体の節々が痛い







シンタロー「いきなり起き上がるな、病人が」






あ「ねえ、カノはどこ！？生きてるよね・・・」






シンタロー「落ち着け！！お前と一緒にいたあの黒猫、今はアヤノが預かってるから心配すんな。そんなことより、お前はお前の体のこと考えろ」







シンタローが丁寧に説明してくれた
カノは生きているんだ。よかった・・・







私、ちゃんと守れたかな？









あ「・・・よかった」





シンタロー「・・・ほら、泣くな」








いつもの赤ジャージで私の目元を拭く
少し雑だけど、優しくしようとする気持ちが伝わってくる









あ「・・・シンタロー、雑」





シンタロー「そんだけ大口たたけりゃあもう元気だな。そんじゃ、俺は帰る」






あ「そっか、帰っちゃうんだ」






シンタロー「ああ、お前も早く治して学校こい。お前があそこに揃わねえと、色々と面倒だからな」







あ「何それ、変なのwww」








「うるせえ」といってガシガシ撫でるシンタローの手







なんだか、元気をもらった









シンタローが出て行ったドアを見つめたあと、外を見た








あ「カノ」








カノは、今だとお昼寝かな
今日はお日様でて気持ちいいだろうな







あ「早く、会いたいな」

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