【カケ"フ°ロ】目を/に「うつす」話『サマータイムレコード』【二次/夢主】 (ページ33)

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31.「願い、或いは刑の宣告」ページ33

三人称side

マリーの後ろにある黒い大口は、しかし団員を呑み込む事はしなかった。
ｼﾝﾀﾛｰ「…何をするか、分かるな」
ｷﾄﾞ「ああ、分かっている。その上で、お前に任せるよ、シンタロー」
他の団員も頷いていた。
シンタローは、粛々とした雰囲気でケンジロウに近付くと、その身体をやっとながら持ち上げた。
ｼﾝﾀﾛｰ「じゃあな、…」
そのまま大口の中へ放っても良かったのだろうが、シンタローは必要以上に丁寧に、横たえる様に身体を置く。
その瞬間にケンジロウの姿は消えた。

そして、大口のその奥に、睦まじく寄り添う二人の影が見えた。

冴える「う、ぐ…くっそおおおおお！！！」
「冴える」が咆哮する。
冴える「俺は…俺、は…ッ！…そうだ、『醒ます』！お前の願いを、叶えて…」
言葉の途中で、「蛇」が最も大きく揺らいだ瞬間。
コノハの身体が造り変わっていった。

「九ノ瀬先輩！」

そこには、多少の差異こそあるものの、昔と変わらぬ九ノ瀬遥がいた。
遥「ごめんね、遅くなって」

団員に向け少しだけ困った様に、しかし優しく笑いかけると、遥は「冴える」へと向き直った。
表情には決意が滲んでいた。

遥「『醒ます』…僕の、コノハの願いは…
『あの子』を、助けたい。その、一つだよ」
冴えるが、その願いに顔色を変える。
冴える「何ッ！？あんな小娘の、代わりに！俺が、俺が…」
遥「さようなら、『冴える』…さようなら」
冴える「うう…くそっ、くそぉぉぉおぉぉおおぉッ！！！！！」

見苦しく抵抗するも、余りにも呆気なく「冴える」は霧散して消えた。