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第六話2/2 ページ8

「実は、僕はね、ドールちゃんが大嫌いなんだよ。
キドも思わない?あんな人形みたいな無表情を、例え泣き顔でも良い、いや、むしろ泣き顔が一番良いかな。動かさせなきゃ苛々するんだ。
第一、胡散臭い。僕らがカゲロウデイズに巻き込まれた時、その前に何が起こったか覚えてる?
新入団員が入ったんだよ。4人も!
僕は初めマリーだって嫌だったんだ。だって、そうでしょ?メカクシ団は、姉ちゃんとキド、セト、それから僕だけの『秘密』結社だったのにさぁ!
あいつらが踏み荒らした!そう、特にシンタロー君が嫌いだ。勿論感謝はしてるよ、事件を終わらせたのはシンタロー君だ。でも、あいつが姉ちゃんを少しでもわかっていれば、姉ちゃんはあんな辛い思いしなくて済んだ筈なんだよ。
あいつは何も出来なかったんじゃない、何もしなかっただけだよ。虚ろな目をして、何も見てなかったんだ!
虚ろ、そう、虚ろだ。ドールちゃんだよ。彼女の体形からどんなに正確に体重を割り出しても、二十一グラム足りないだろうね。わかる?魂の分の重さが無いんだよ。
最後に言うよ。彼女は、絶対に事件を起こす。そしてさも被害者みたいに振る舞って、それから主人公みたいに大活躍するんでしょ?もう飽きたよ。お腹いっぱいだよ。やめてよ…」
 ここまでが、僕の脳内をコンマ1秒で巡った台詞。勿論これは戯言で繰言で絵空事で、本音なんて一割しか混ざっちゃいない。
 だから、キドには台詞の最後、ホントの本心だけを伝える。

「僕はただ、平和に秘密結社やってたいだけだよ」
 ふと真顔になったカノがどきりとする様な台詞を吐く。しかしすぐに笑顔になって、「ほら、セトのコンビニ着いたよ」と言う。
 なんと言葉を掛ければ良いか、俺には分からなかった。
 分からないなりに小さく呟いた。

「団員風情が抱え込むな。俺は元団長だ」
 …あぁもう、優しいなぁ。

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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時

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