人生ゲーム【カゲプロ】

本能寺チーム ページ13

sideカノ

午前3時。
僕は全く眠れずに、ボーッと音を消したテレビを眺めていた。

「……しゅーや？」

カノ「ん？ あれ、実優ちゃん。どしたの？ もう大丈夫なの？」
実優「うん。修哉何してるの」
カノ「ちょっと眠れなくて」
実優「そうなんだ」

なんだろう……実優ちゃんがいつもと違う気がする。
寝起きだからか。
ふわふわしてるって言うかなんて言うか。

実優「あのさ」
カノ「うん」
実優「聞きたいことがあって」
カノ「何？」
実優「……なんで私が嘘吐いてるって言わないの？ 修哉は全部覚えてるのに」
カノ「……」

そう、僕は全部覚えてる。
言葉通り、全部だ。

彼女がメカクシ団に入った日から、今この瞬間まで。


実優「1回目の人狼ゲーム。勝ったのは私達人狼じゃなくて村人側。なのになんでわざわざ話合わせたの？」
カノ「……君が言うなら、意味があると思った」
実優「ないよ。何もない」
カノ「じゃあなんでそんな嘘っ……！」
実優「……ごめん」

違う、謝ってほしいわけじゃない。
理由が知りたい。

意味もなくそんな嘘を吐く必要なんて絶対ない。
むしろ彼女は被害者だ。

カノ「いや、僕こそごめん。あの時、ちゃんと本当のこと言ってれば……」
実優「あの段階で、本当のことを言う必要性を感じなかった。別に死んでも良かったから」

死んでも良かった……？

カノ「そ、んなわけ――」

ない、と言おうとしたその時。

「……なあ、それって、聞いて良かった話か？」

カノ「……シンタローくん……」

一番、この場に現れないでほしかった人がそこにいた。

実優「……あんたほんと、聞かれたくないこと聞いてるよね」

実優ちゃんが軽く溜息を吐く。

シン「この状況ってオレが悪いのかよ」
実優「盗み聞きなんて質悪い」
シン「悪かったな。別に盗み聞きしてたわけじゃない」

なんで、いつから。
そんなの聞く暇もなく、テンポよく会話が続いていく。

何事もなかったかのように。

シン「ってかお前もう大丈夫なのか？」
実優「ああうん、大丈夫」

お互いに、さっきの話について触れないのはなんでなんだろう。

実優ちゃんは、話す必要がないと思ったから？
シンタローくんは、聞いても答えてくれないと思ったから？

それとも、そんなことどうだっていいから？

……ああ、本当に腹が立つ。

やっぱり、お前が悪い。
何も気づかないお前が。

カノ「シンタローくんのせいで、みんな実優ちゃんのこと忘れたのに」

もう、引き返せそうにない。

本能寺チーム→←本能寺チーム

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す