story.7 ページ8
すり抜けた、すり抜けたんだ!
「キドさんっ、これってどういう……!?」
状況を把握するべく、うまく回ってくれない頭と口で何とか訪ねる。しかし、キドさんは返事をしてくれそうにもなく、未だ何かを探すような仕草を繰り返している。
すると、突然キドさんの目が赤く光った。そして、空間が歪んだと思ったら___消えてしまった。
「ええっ、キドさんっ!?」
何度口を開いても、誰一人気にも留めないこの状態に不安感が増していく。
「あれ、キド今能力使う必要あるの?」
「どうなってんだよこれ。」
カノさんとシンタローさんが口々によく分からないことを呟いている。
突然体に何かが触れた。すると、キドさんは前までと変わらない姿に戻っていた。
「ひっ……」
「くくくっ……あぁっ……Aちゃん……『ひっ……』って……可愛いっ……」
「カ……カノさんやめてくださいっ!笑わないでくださいっ!」
「それより、俺さっき勝手に能力発動したんだが……」
「じゃあ、Aちゃんの能力は隠すを暴走させるって事ですかね?……ってええっ!?」
モモちゃんが驚いている理由を説明すると……
私と目が合った瞬間、カノさんの動きがピタリと止まったからだ。
「……って、ええっ!?」
カノさんの動きが止まった!?止まったのだ……!
ふと、たくさんのカップをお盆にのせて歩いてくるマリーさんと目が合う。
しかし、そのまま私は釘付けになってしまった。マリーさんの目は、キドさんと同じ赤に染まっている。
マリーさんも私も、その視線を微塵もそらすことなく、ピッタリ合わせていた。
突然、先程まで聞こえていた環境音のようなものが止んだ。そして、さっきのカノさんのように皆固まってしまった。
「ええええっ!?」
私が驚きを隠せずにいると、マリーさんが話始めた。
「えっと……A……?きっと……大丈夫、だと思うよ……?すぐ元に戻るから。」
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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時