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story.42 ページ43

ドアを開けた瞬間、後ろに引き戻された。

 見ると、カノが私の袖を掴んでいた。

 「えっ……カ、ノ……?」

 カノの手が触れる、そのほんの僅かな面積がじわじわと熱を帯びていくのを感じる。

 誰も何も言わないまま、時間だけが過ぎていく。

 何か言った方が良いのだろうか。

 『勝手な事ばっかり言ってごめん』

 『部屋に籠ったりしてごめん』

 『迷惑かけてごめん』

 『何も出来なくてごめん』

 私が全部悪いんだ。

 ごめんなさい。

 だから……だから許して……。


 許してもらえるまで、いくらでも謝るから……

 だから……だから……お願いだから……

 嫌わないで……独りにしないで……

 もう嫌だ……。

 怖いんだよ……。


 どうして私はこんなにも、君に嫌われるのを恐れているんだろう……。

 もう手遅れだ、なんて事、容易に想像できるのに。

 大好きな君に、嫌われるのは嫌なんだ。


 やっぱり、私はメカクシ団の皆が大好きなんだ。

 そう考えてみる。それでいいはずなのに、私の中の何処かで、何かが引っ掛かった。

 メカクシ団の中に、大好きじゃない人なんているはずがない。

 じゃあ、何が違う?

 この感覚は何?


 『僕でよければ、どんなに頼ってもいいから』


 カノのその言葉が鮮明に蘇る。

 私の脳内に浮かんだのは、1つの可能性。

 もしかすると……いや、多分。これしかないんだ。


 カノ、私は貴方が好き。

 皆の事は好きだけど、それとは違うんだ。

 きっとこれは、そういうことなんだよ。

 私なんかでいいはずがない。でも……



 私は、貴方が大好きです。



 私の胸中で、すとん、と何かが落ち着いた気がした。


 カノのこの手が離れたら、もう届かない様な気がして。

 ただ、離して欲しくない、と。そう思った。

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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時

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