story.23 ページ24
その後、私達はエキストラの皆さんをさっさとかわし__なんて事にはなるはずもない。
エキストラの皆さんがどうのこうの〜という以前に、足がガクガクと震えてしまい進むのにすら時間がかかってしまう。
更には、目を瞑っていたら、面白がって立ち止まったカノの背中に鼻を思いきりぶつけるという始末だ。
「カノ……な、何か喋ってよ……!」
とりあえずカノに声をかけるも、無反応。格好いい事言ってたと思ったら……こいつ絶対面白がってやがる!
……頼っていいんじゃないのかよ……!い、いや、別に頼ろうなんて断じて思っていない。
「カ……ノ……?」
「……」
またもや無反応。人の体に腕を回しておいてそれはないと思う。
まあ、そうまでしないと歩けない私が悪いのだが。
「ね、ねえ……?」
「……」
カノ……なのか?本当に?もし違ったらどうする?人じゃないかもしれない。幽霊かなにかの類いじゃ__
「カ、カノッ!!怖いから呼んでるの分かってよっ!!」
まずい。叫んでしまった。いや、問題はそこではない。……何女子みたいな事言ってるんだ私は。
「……あっ!!ごめんっ!」
今更反応した。もしかして聞こえていなかったのか?いや、そんな事があるか?でももしそうなら、早急の言葉は聞こえていないかもしれない。それを願お……
「ごめんごめん!で、何、もしかして『怖い』って言った〜?」
「……う、うるさい」
「呼んどいてどうしたのさ〜?」
「……別に……何でも……な……い……」
ああ、早急のエキストラさんの場所的に、この辺でまた……いや、やめておこう。こんな考えは不吉だ。恐怖を助長させるだけだし__
「__きゃあああっ!!」
私を掴むこの手は何だ!?いや、エキストラの皆さんだろう。それどころじゃない!!この状況を打開すべく……
思わずカノにしがみついて、そんなことを考えていると、カノは「おお〜」と、エキストラの皆さんを満足させることは出来ないであろうリアクションをしていた。
「この子、僕が無理矢理連れてきちゃったんだけどさ〜、実は心臓に病気があったみたいで。悪化するといけないからとりあえず大人しくしてくれるかな〜」
カノがまさかの爆弾発言。すると、エキストラの皆さんが突然大人しくなった。
「え……カ、カノ?」
「じゃ、出口まで歩こう」
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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時