21.storty ページ22
「カノ、お前は行かないのか?」
キドが言っているのは、お化け屋敷の事だろう。
僕がAと一緒にお化け屋敷に行かないのか、という事だ。
「え〜、じゃあキドが__ごめんなさい何でもないです」
ちょっとからかおうと思ったら、物凄い剣幕で睨まれてしまった。
「Aもカノと行くつもりだったんじゃないか?」
「いや〜、僕が気を使ってあげたのにねー、行くって言うから?」
嘘はない。
ジェットコースターの前、「あまり怖がらせるなよ。あいつ……」という言葉。それにも「怖がり+強がり」の共通点があるキドだからこそ分かる事でもあるんだろう。
そう考えれば、お化け屋敷の話を最初に出した僕が行くべきだったのかもしれない。
でも、それが僕である必要があるのか。
僕が行くことでAに少しでもプラスになる事があるのか。
第一、怖がるところを見られたくないと思っていることは確かだろう。
そんなことを考え出したらきりがない。
「Aが寂しそうな顔して行ったの見ただろ」
「……」
「早く行ってこい。Aを救ってくるのが任務だ。」
キドに軽く背中を押され、任務のためにお化け屋敷に向かった。
A、待ってて。僕が行くからさ。
怖いなら、いくらでも頼っていいから。
少しでも僕が君を安心させられるように。
君が本当に心から笑えるように。
案外僕達似た者同士かもね。
……なんて。今日の僕は何か可笑しいかもしれない。
人混みを掻き分けて。君に辿り着くために走るから。
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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時