18.story ページ19
『あまり怖がらせるなよ。あいつ、強がりだろ?ああ見えて心は脆かったりするからな。傷つきやすかったりするんじゃないか?』
キドが僕に言ったのは、そんな言葉だった。
キドが言う通り、Aは強がりだと思う。泣いているのを隠そうとしたり、怖がりを誤魔化そうとしているのもそうだろう。
もしかすると、人を信用するのもまだ怖いのかもしれない。他にももっと怖いものが__
「Aちゃん、何か他にも怖い物とかあるんじゃない?」
僕はAに訪ねる。
「そんな訳ないじゃんっ!何、私の弱味を握って馬鹿にしたいの?怖いものなんてないし!」
Aは呆れ顔でそう返した。それも全て強がりなのかもしれない、そう思うと、その表情に恐怖と不安が入っているような気がしてしまう。
「いやー、だってさ〜、Aちゃん嘘ついてるでしょ?」
「え……」
「怖いものもない、泣いてない、って。だってさ……」
「Aちゃん、僕の背中の上でずっと震えてたでしょ?」
僕が耳元で囁くと、Aはビクッと体を動かして頬を赤く染めた。
昨日の帰り、Aは僕の背中の上で震えていた。僕のパーカーを握りしめて。
結局はそのまま寝てしまったけれど。僕は、その頬に涙か伝ったのを見た。
「カノ、何言って……ほ、ほら!ジェットコースター着いたよ!並ぼうか!」
「なんですか〜!?猫目さん達、秘密のお話って奴ですかねっ」
「エネちゃん!写真写真!」
エネちゃんとキサラギちゃんの明るい声が、周りの賑やかな音に消されていく。
「わわっ!エネちゃん!ストップ!余計なことすると命はないぞっ!」
Aちゃんがキサラギちゃんのスマホに向かって叫んでいる。
その笑顔の裏側に隠された感情に僕は気づいてあげられるだろうか。
能力じゃなくても、君も何かを偽って生きているんじゃないだろうか。
君のその笑顔は、『ホンモノ』?『ニセモノ』?
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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時