story.16 ページ17
「うぅ…………」
呻き声をあげながらゲートをくぐった。お察しの通り、ここは遊園地。
「いや〜、楽しみだね〜!Aちゃーん?」
「そうだねー。うわーとっても楽しみだなー。あははははは……」
からかう様に話しかけてくるカノに、棒読みの台詞と乾いた笑いで返事をする。
……クソ。こいつめ。私の弱みを握ったと思って……
「だ・ん・ちょ・う・さ〜ん!また一緒にお化け屋敷入りますか〜?」
「え……は、はあっ!?キ、キサラギ、お前っ……な、ななな何をっ……!?!?」
「あっ、もう私能力使えるんで、怖くなって途中で抜けても大丈夫ですよっ!」
「べっ、別に俺はっ……」
よっぽど怖がりなのか、嘘が下手なのか、尋常じゃなく焦っている。
「キドは怖がりなんだから、無理矢理つれ回したらかわいそうだよ?それより私はジェットコースターに乗りたいな!」
明らかにフォローになっていないフォローをするマリーちゃん。これはこれで可愛いと思う。案の定、キドは黙り混んでしまったが。
「マ、マリー……」
そんなマリーにセトは言葉も出ないようだ。
「ねえ……シンタロー。……ジェットコースターって……何……?」
「えっ……ああ、コノハか。ジェットコースターってのはな……その……速く走るやつだ!ほら、レール!あそこにレール見えるだろ!?あの上を乗り物に乗って進むんだ!」
「へえ……何か……楽しそう……!」
「僕も乗ってみたい!!」
途端にキラキラと分かりやすく目を輝かせるコノハとヒビヤ。なんと言うか、エネルギーに満ち溢れている。
「ごっ主人〜!また上がったり下がったりするやつ乗りましょうよ〜!」
「あー、はいはい」
「またジェットコースターで美味しい素材の提供お願いしますねっ!」
最初に何に乗ろうか、なんて話を団員たちとしながら歩く。
お化け屋敷の件を完全に忘れた私には、そんな時間が今までになく楽しく感じた。
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作者名:夜桜
作成日時:2017年9月24日 0時