２０> ページ22
＊ ＊ ＊
-----▶SEVERAL YEARS AGO...
わたしのお母さんが、死んだ。
何かの発作だったらしいが、わたしはそんなこと欠片も知らなかった。
何の前触れもなしに、突然。
本当に突然、目の前から、わたしの人生から、お母さんは姿を消してしまった。
……あの日は、朝から雨が降っていた。
わたしのお母さんのお葬式の日。
わたしは１０歳だった。
たくさんの人がやってきて、お線香をあげていった。
「ご愁傷様でした」
「気を落とさないで」
「まだ若かったのに……」
そう言って、みんな泣いていた。
お母さんの妹……つまり叔母さんは、参列してくれた人にお礼を言っていたけど、目を真っ赤にしていたし、うつむいて、ときどき涙を拭っていた。
でも、その中で一番泣いていたのは、わたしだったと思う。
お母さんが死んだって意味を、今のように理解できたわけじゃないけど、もう二度と会えなくなったってことは分かっていた。
でも、わたしの頭の中には、お母さんの優しい声が響いていたし、ちょっとひんやりする手が頬を撫でた感触も、まだ残っている気がした。
悲しくて、寂しくて……棺にしがみついて、泣きわめいていた。
そんなわたしを、叔母さんも無理に引きはがそうとはしなかった。
ただ、じっと傍にいてくれた。
泣き疲れて、叔母さんに手を引かれて、葬式の列に戻ろうとしたときだった。
座っていたお父さんと目が合った。
お父さんは、睨みつけるような怒った目で、わたしを見ていた。
なんでそんな顔をしてるの？
悲しくないの？
そう訊きたかったけど、お父さんは会話を拒否するように、すぐに目を逸らしてしまった。
あとは、ずっと興味がなさそうに、無愛想な顔をしていた。
……その日から、お父さんは少しずつ変わっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
操 - また付け足し。まどマギ知っていて嬉しかったです (2014年11月1日 8時) (
レス) id: 25a230a0da (このIDを非表示/違反報告)
操 - いえ、面白いので。私人に嫌な言い方するときがあるんです。すみません (2014年11月1日 8時) (レス) id: 25a230a0da (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 操さん» 返信遅れてすみません！ たぶん目覚めのシーンとかですよね。 アニメの第十話、確かに意識したので……不快にさせたようならすみません。 似ていないところもたくさんある……はずなのでこれからもよろしくお願いします！コメントありがとうございます！ (2014年10月31日 23時) (レス) id: 4032ac221f (このIDを非表示/違反報告)
操 - 付け足し。余計な事言ってすみません (2014年10月30日 19時) (レス) id: 25a230a0da (このIDを非表示/違反報告)
操 - 失礼します。まどマギの小説に似てる (2014年10月30日 19時) (レス) id: 25a230a0da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼方 x他1人 | 作者ホームページ：http://s.ameblo.jp/mimio-oshiman/
作成日時：2014年10月6日 13時
