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「そーじー?また寝込んでんの?」

「…煩いなぁ千尋ちゃん。黙っててよ。」

「うわ、それが心配して見にきた人に言うこと?」


新選組が不動堂村の屯所に移転してすぐの頃。

総司がまた寝込んだらしいという話を聞き様子を見にきた。

思っていたよりは大丈夫そうで、まだ悪態を吐く元気はあるようだ。

「よっこいせ」となんとも老人くさい言葉を吐きながら総司の布団の横に座る。


「で、なに?まさか重い病気にでもかかってるわけ?」

「そんな訳ないでしょ?余計な口きくなら斬っちゃうよ。」

「こわ…。でもただの風邪をそんなに拗らせるかな?」


「なーんてね。」とふざけて言ってみる。

すると急に俯いた総司が乾いた咳をコホコホとする。

次の瞬間、何かが絡んだようなゴホゴホといった咳に変わる。


「そ、総司…?」

「っ来るな!!」


総司がそういった瞬間、総司の口からは血が溢れ出す。


「総司っ…!?」


慌てて駆け寄り、子どもをあやすように背中をさする。

しばらく咳は続いたが、次第に収まっていく。


「……労咳でしょ、これ。」

「…あーあ、バレちゃったか。千尋ちゃん、誰かに言おうとか思ってないよね。言ったら…斬るよ?」

「…わかった、言わない。」


総司の言う「斬るよ」が、いつもの冗談とは比にならないほど怖かった。

きっと本気だ。

それに…総司が自分で新選組に残ると決めここにいるなら、私はなにも言うつもりはない。


「…私、出るから。ね、変若水だけは使わないでよ。」

「さぁ?それはわかんないな。」

「総司。」

「…分かったよ。変若水は使わない。」

「じゃ。」


静かに総司の部屋をで、自室へ向かう。

どんなに総司が辛くても、変若水を飲むことだけはダメだ。

だって。



(変若水じゃ労咳は治らないし…)


.

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作者名:かん。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kaecchi0632/  
作成日時:2018年8月7日 20時

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