交錯する線 part 2 【Kento】 (ページ35)

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2人でソファに座っている。

映画の時とは違う近さだ。肩が触れていることに彼が気づいていないはずがない。
あんなことをされた後だ。
肩が触れるくらいどうってことないだろ、という事なのか。

ひとまず気持ちを落ち着けたくてコーヒーに口をつける。
中島さんも何も言わずにコーヒーを飲んでいる。
何口かしたところで彼が口を開いた。

「Aが誰とどうしようと自由なのに、妬いちゃってごめん」

一応謝ってはいるものの、あまり悪いとは思ってなさそうな口ぶりだ。

「いえ。風…菊池さんとは別に何もないです。
お客様ですから」

「それはわかんないだろ。あいつだってAに惹かれるかもしれないじゃん。
現に俺もお客さんだったんだから」

少し拗ねたような棘のある言い方だ。

「菊池さんはほんとにただのお客様です！
菊池さんだってそんなつもり絶対ないですから」

勘違いしてほしくないのと、私にそこまで惹きつける力はないのをわかって欲しくてムキになって言うと

「あーわかったから、あんま他の男の名前言ってるとその口塞ぐよ？」

涼やかな視線をこちらに流し言ってきた。

思わず口元を手で隠す。

「私が嫌がることはしないって、さっき言いました」

非難がましく言うと

「え、それ嫌なことなの？ほんとに？」

どことなく険のある響きなのは変わらないが、表情はニヤリとしているのがわかって、ひとまずは冗談なのだと理解する。