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「Aは俺に堕ちるよ」
ソファの背もたれにひじをつきながら私を見下ろすように不遜な態度で言ってくる。
いつもの彼は多少強引なところはあれど、基本紳士で優しい。いつもの彼からは想像できないギャップに不覚にもどきどきしてしまう。
S系男子がマンガのヒーローになる理由がわかる気がした。
「そ、そんなの…わからないじゃないですか」
精一杯の虚勢を張ってみる。
「ほんとにそう思ってる?Aはもう少し自分の心を把握した方がいいよ。
ていうか、ほんとはわかってるだろ?」
今日の彼はなんだか意地悪だ。
「なんでそんないじわる言うんですか」
隣に座る彼を見ながら恨みがましく言ってしまう。
「Aが、かわいいからだよ」
私のせいだと言わんばかりの口ぶりだ。
思わず口をつぐんで前を向いた。
背もたれにひじをついていた彼の手が隣から伸びてくる。
私の横髪をそっと耳にかけながら
「恥ずかしがる顔も、そうやって一生懸命抵抗する顔もかわいくて、ついついいじめたくなっちゃうんだ、ごめんね」
今までとは打って変わってすごく優しい、
いつもの中島健人の甘い喋り方だった。
でもやっぱり悪いとは思ってなさそうだ。
「そろそろ帰る?
あんまり遅くなるのも、ね?
これ以上攻めたら、俺もAもやばいよね」
いったいそれどう言う意味?!
「えっと。そうですね、お暇します」
そう言い立ち上がる。
やばいって何?!夜になれば雰囲気に呑まれるとかそういう話?!
ボニータは丸くなって眠っていた。
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作者名:にこ | 作成日時:2021年9月25日 22時