四十話 ページ7
「家に帰るのは…止めたほうがいいんじゃないですか？」
「あ？なんでだよ。」
確かAは以前、家族はいないといっていた。母親も、もう亡くなっているのかもしれない。勿論他の可能性もあるが…。でももしそうだった場合それは、今の混乱しきったAが知るには可哀想すぎる事実だ。
「…いきなり幼児化した息子が家に帰ってきたりしたら、お母さんは驚くでしょうし。何より、心配するのでは？お母さんの為にも、家には帰らない方が良いと思いますよ。」
「言われてみりゃ、そうだな。でもそうなると俺、帰る場所が…、」
「私の仲間に信頼できる男がいます。その男に頼ってみるのはどうでしょう。」
「いや、それは流石に…。」
「遠慮はいりません。彼は、23歳の貴方と面識があります。きっと歓迎してくれますよ。」
「そ、そうなのか？」
「ええ。彼に事情を話してきます。少し待っていて下さい。」
銃兎は携帯を片手にAから離れた。
＿＿＿＿＿
「お待たせしました。思った通り、快諾してくれ……ってAさん？」
電話を終えて戻って来たが、その場所にAがいない。
どういうことだ。逃げたのか？って言っても、Aに行くあてなんてないはず。まさか、Aに違法マイクを使った輩が、さらったんじゃ…、
「っ？！」
焦って辺りを見渡す銃兎の頬に、コツっと何かが当てられた。
振り向くと、Aが不思議そうな顔で立っている。
「どうしたんだよ、焦った顔して。」
なんだ？…缶、コーヒー……？
「いや、喉乾いてたからさ。向こうに自販機見かけて、丁度財布も持ってたし買ってきたんだよ。」
これあんたの分、と缶コーヒーを銃兎に手渡し、平然と車に乗り込むA。
なんだそれは。
「…あまり心配させないで下さい。」
「なんだってー？」
Aが窓から顔を覗かせる。
「何でもありません。さあ、早速向かいますよ。私の仲間のもとへ。」
銃兎も車に乗りこみ、出発した。
＿＿＿＿
「ここからは歩きになります。車を降りますよ。」
暫くして、森の近くまで来た銃兎は車を止めた。
「いや歩くって、森しか見当たんないけど。どういう…え、まさかそいつ、」
「そのまさかです。彼は、森に住んでるんですよ。」
「嘘だろ…。こんなとこでまじで生活できんのかよ。え、そいつってどんな人なんだ？」
「いい方ですよ。元軍人で、とても頼りになる男です。」
「名前は？」
「毒島メイソン理鶯といいます。」
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沙悟浄(プロフ) - ムムさん» そう言ってもらえると嬉しいです。とても励みになりました！ありがとうこざいます。 (2021年4月29日 13時) (
レス) id: a53696e285 (このIDを非表示/違反報告)
ムム - 面白すぎましたけど、 (2021年4月17日 23時) (レス) id: ec0741b59c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙悟浄 | 作成日時：2020年12月31日 15時
