それはまるで魔法のように【３】 (ページ34)

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＊待ち受け＊ページ34

鍵谷 side

『北海道って物件安ーーい』

30「土地が広いからね」

正式にAちゃんが球団職員になる事が決定し、年が明けてすぐ。新居探しを手伝って欲しいとお願いの電話があった１月下旬。

本当にすっぱり消防を辞めてきたAちゃん。後悔とかないのか？とかすごい思うけど、まあ後悔なんてものはしていないんだろうな。

30「物件の条件は？」

『札幌ドームからの通勤がラクで、広くて、出来れば防音のお部屋』

30「とりあえずさ、不動産屋さんに行こうか」

『了解です』

この前、球団本部にご挨拶に行ったんです。と新しい職に嬉しそうなAちゃん。１月の札幌は街中雪で覆われているから、歩き慣れてない感がすごく可愛い。

30「前任に挨拶できた？」

『それがすぐにでも退職したいそうで、年度末に退職するそうなんですよ』

30「もうおばあちゃんだもんね」

『挨拶に行った時にお会いして、業務内容の申し送りも受けました。ざっくり言えば、選手の体調不良時の看護だそうです。』

ほら、ケガとかはトレーナーさん達が処置してくれるやないですか？と。そういえば、そうだ。俺が看護師さんにお世話になったのって、熱出した時とかだったもんな。

『やからＳＮＳの写真担当とストレッチも任されちゃいました』

30「え？そんな事あるの？」

『一応、球団職員って事なので。遠征費用、１人分抑えられるから。って』

経費削減。民間企業じゃ当たり前の考え方ですよね。と若干滑りながら言う。大丈夫なのだろうか。

30「掴まる？」

『大丈夫ですー、自分で歩けますー』

あ、不動産屋さん見っけ！と走り出せば豪快に、すてーんっと転んで尻餅をついてる。だから言ったのに。

30「札幌の冬をなめたらダメしょ」

掴まり？と腕を出せば全体重かけて来るから、俺も転ぶ。行き交う人に＂彼氏も転んじゃった。可愛い＂とクスクス笑われる。…俺、北海道民。悔しい。

30「大丈夫？はい、立って」

『彼氏も転んじゃった。やって。』

私らカップルに見えるんですね。と言いながら何故か携帯のカメラを起動して、ハイチーズと自撮りをして、すぐに送られて来る。

朝比奈A＂朝比奈Aが画像を送信しました＂

朝比奈A彼氏じゃなくてお兄ちゃん。これからよろしくお願いします

可愛い可愛い妹分のAちゃんとのツーショット。すぐに待ち受けにしたのは言うまでもない。

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