21 緊張 ページ21
「飲み物用意するから、適当に座っててや」
「ありがとうございます」
大きなリビングにちょこんと置いてある赤いソファー。
それは、ヒカルさんが昔買ったと言っていたもの。
ああ、本当にヒカルさん家に来たんだと改めて実感した。
お婆ちゃんが一人台所で飲み物を用意している姿を見つつ、未だに緊張が解けない私はそのソファーの前に座ってソワソワしながら待った。
「麦茶で大丈夫かい?」
「はい!大丈夫です!」
目の前のテーブルにコトンと置かれたガラスのコップには麦茶が並々と注がれていた。
「そんな緊張せんでもええよ?にしても、あの子が女の子連れてくるなんて珍しいから最初連絡貰った時ビックリしたわー」
「こちらこそ、すみません…。あと浴衣も…」
あの時、ヒカルさんからのLINEの文章は、実家で浴衣を借りて会場で待ってて欲しいとの事だった。
『一人でヒカルさんの実家なんて無理!』と直ぐに送ったが、それでもヒカルさんは『婆ちゃんしか居ないから大丈夫』との全然心が落ち着かない返事が返って来た。
それでも断り切れず一人で来たのはいいものの、ヒカルさんの実家で身内の方と何を話せばいいのか分からないし、緊張しすぎて頭が回らない。
「ああ、浴衣はあの子がこっちに送って来たのだから、新品なんやけどサイズとか大丈夫そう?」
てっきりお母さんの昔の着ていた物とかを想像していたが、ヒカルさんがわざわざ買ってくれた物!?
それなら、私の家に送ってくれれば良かったのに、何故実家宛にしたんだろ?
と、少々疑問は浮かんだ。
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揶揄 - 最近見始めました!すごく面白いです! (2019年9月22日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
虎苦迷花さん推しのぴかちゅう - まぢすこ…(( (2019年9月21日 20時) (レス) id: d00440de79 (このIDを非表示/違反報告)
金亀子?(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです、!!! (2019年9月7日 23時) (レス) id: a3d0a4cc33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月香葉 | 作成日時:2019年7月30日 22時