【ハリポタ】悪あがきでもしようかとⅣ (ページ6)

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第146話　常識なんて不確かでページ6

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「やはり、と言っては何だがルーツはそこになるわけか。思想系の文献ならどれも一度はその話が出てくるよな」

文献の名前を数個上げていくと、レギュラスは驚きの声をあげた。

「そうなんですか？」

「あれ、ブラック家にもそういう本あるでしょ？」

「ありますが、僕如きが容易く読める様な代物ではないので…。文献は、古ければ古いほど価値が上がりますから、触れるなんてとてもできません」

「そうなんだ、じゃあうちがおかしいのかもね。うちはその辺寛容っていうか、放任されてるからさ。元々の蔵書量が多いのもあるけど触って怒られたことはないよ」

「…貴女はいつも本を読んでいますが、どうりでその本がとてつもなく貴重なものばかりなわけですよ」

「それセブルスくんにも言われたなあ」

本当に、他人のことをよく見ている。迷える少年を前にして、さてどう言ったものかと思考を巡らせる。

私自身の意見だけだとどうも直上がすぎるところがある。相談を持ちかけておいて今更だが、正直言って私は誰かにアドバイスをする事に向いていない。私の常識は非魔法族の常識だから、魔法族のぶっ飛んだ常識への批判意識は説明できる。でも、それだけではダメなのだ。

「…個人的な意見だけどね、文献っていうのは口が上手い奴の、“＿自分の意見が正しいです、何故ならば＿”っていう事が延々と書いてあるわけで、それを真正面から真っ直ぐに受け取ってやることはないと思うんだよ」

それが正しいかどうかを判断するのはあくまで自分だ。
どこが正当で、どこがおかしいかなんて、受け取る側の考えによって変わってしまうものをそのまま真っ直ぐ受け取ってもらおうなんておこがましい。
そういう捻くれた目で見なければ、どこからが事実でどこからが理想上でどこからが偏見かが口八丁にうまく隠されていることに気付けない。

「今度、家から何冊か文献を送ってもらうから、一緒に赤ペン先生でもしようか」

「アカペン先生？」

おっといけね、とAは苦笑した。すぐにレギュラスに分かるよう言い直す。

「自分なりの答え合わせだよ。そうすれば、自分のことも見えてくるだろうさ」

レギュラスは頷いた。もう表情に陰はなかった。

「今日はもう寝なさい。ほら見て、明日の朝が恐ろしくなるくらい遅い時間になってしまった」

「朝がお嫌いなんですか？」

「うん、だいぶね」

おやすみ、と背中に刺さる視線に声をかけて、私はその場を後にした。

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