【ハリポタ】悪あがきでもしようかとⅣ (ページ3)

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第143話深夜の高揚ページ3

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「あんな顔、とは？」

「なんと言ったらいいか…そうだな、君が入学して来た頃よりずっと曇っていたよ。憂いを帯びた表情は君にたしかに似合ってるけど、あまり良いとは言えないな」

何かあったの？と聞かれて、僅かに息を飲んだ。自分のほんの僅か一瞬の気の緩みをこの人は気づいていたのだ。仮面を被っている人は、他の仮面を見破ることができるのだという事を自分は失念していた。

「もう一つ付け足すなら、私があのままなら君は私を一生信用しないだろうから」

自分は思わず笑ってしまった。渇いた喉を震わせたので優雅さのかけらもない気味の悪い笑い方だったが、もういい。もうどうでもよくなってしまった。この人の前で、自分の精一杯の虚勢は無意味だったのだから。

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深夜の談話室に、二つの声が小さく響く。偶に漏れる笑い声と落ち着いた雰囲気に、両者の間に攻撃性も敵対心も残っていない事がわかった。

レギュラスは朗らかに笑う目の前の麗人を見る。

この人は自分の寮の先輩のA・Aという。危険な香りのする美貌と本人の冷淡かつ苛烈な性格が相まって、人々はこぞって噂話のタネにするのだ。故にこのホグワーツにおいて良くも悪くも有名な人で、大多数の人間は彼女を遠目に眺めながら、噂に尾ひれとはひれをつけていく。

最近聞いた噂の中で強烈だったのが、A・Aは権力に物を言わせて魔法省を買収しているので民衆に話が浸透しないだけで、既に死喰い人に加入していて、手にかけた人間の目玉をコレクションしているという内容だ。

これを廊下を歩いている時に聞いた僕はこみ上げる笑いを噛み殺せずに肩を不自然に揺らしてしまった。そのせいで隣にいた友人からは気が狂ったのかと思われた。悪意ある噂もここまでくるとジョークの類だ。

A家が本気を出せば魔法省くらい買収でも恐喝でもして配下に置けるだろうが、それをしてなんのメリットがあるんだ。なんの意味もない。死喰い人のことだって完全に舐めている発言だし、目玉をコレクションってお前、それは最早マッドサイエンティストだ。たしかにあの外見に危険な美しさを求めるのは分からなくはないし絶対似合うんだろうけど、ありえない。

その噂の話を先輩にしたら、先輩は目を丸くして子供のように笑った。

「ハハハ！そんなの有り得ないにもほどがあるだろう！」

「ええ、本当に！いくら先輩に目玉が似合うからって！」

「ちょっと待ってそれどういう事」

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