#8 祝福 ページ9
「・・・・すみません」
その声の方をじっと見る。白い髪、大きい目。今朝もテレビで見た九条天だ。
マスクと帽子をつけていてもオーラが違く感じた。驚いて立ち尽くす。
落とした私の鞄を彼が拾う。こちらに渡してきた。
「はい、どうぞ」
「えっ、あ、ありがとうございます」
優しい声にドキリとした。やっぱり芸能人は何かを惹きつけられる魅力がある。
「あの、すみません、サインってもらえますか?」
小声だが反射的に言ってしまった。やっぱりこんなことって、なかなかないから一回もらってみたかった。それにあの九条天だ。みんなのあこがれ。
いいですよ、と言われて、鞄から何か書けるものを探す。
昨日の夜入れておいた小説用のノートしかなかったのでそれを渡した。
鉛筆を探していると彼が言う。
「小説、書いてるんですね」
小説を少し見られたみたいで、私は顔が熱くなる。昨日は自信満々だったけれど人に見られるとなると恥ずかしい。
「ま、まぁ、あはは」
そうしてサインを貰うと彼は会釈をして去っていった。
サインをもらい、ウインドウショッピング(ショッピングはしていないけど)に満足し、施設に戻る。すると環からラビチャが来ているのに気づく。
それはオーディションに受かったことと、これからは寮生活だということらしい。
思わず電話をかける。
「おめでとう!」
口頭一番に言う。少し声が大きかったかな。
「うおっ、びっくりした」
マイペースな喋り口な声が聞こえる。
「お祝い何にしようか!」
テンションが舞い上がった。私は自分のことのように嬉しく感じる。
「なんでもご馳走する!まぁ五千円以上のものは買えないけど」
電話口から小さい笑い声が聞こえた。私のテンションを笑われたのだと少し恥ずかしくなる。
「高くないやつでいいよ。王様プリンで。」
「王様プリンでいいの?」
「うん。もうご馳走がなくても充分嬉しいから。」
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なつめみく - ええええ?!神!!すげーはまった!!なんか、たまきってめっちゃ可愛い!!今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー!!!がち可愛い!!! (9月28日 16時) (レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年7月13日 22時