#14 再会 ページ15
【『運命の出会いってどんなのだと思う？』
彼は影に視線を落として言った。窓から、夕日の橙色の光が彼の黒い髪をきらきらと照らしている。私はその言葉に数秒悩む。答えだけではなくその質問の意図まで考えてしまう。少しセンチメンタルな気分にさせる時間帯にそんな質問は意地らしい。私が彼のことを好きなのは彼も分かっているはずなのに。
『 』】
「はーあ、わっかんないなあ」
私はため息をついた。恋愛のシーンにはどうも息詰まる。そのシーンになると主人公の気持ちがモヤモヤして、霧がかかったように視界が分からなくなる。
新人賞の応募期間もあと少しなのに。焦る気持ちを抑えて散歩することにした。こんなときは気分転換だ。
制服に着替えていつものウィンドウショッピングを楽しんでいると
前の変なおじさんのところにいた気になっていた女の子を見つけた。一人で壁によりかかり、誰かを待っている様子だった。
「あ、あの」
気になりすぎて思い切って話を聞くことにする。
「あ、この前の。」
顔を上げて私を認識してくれた。やっぱりあの子に似ている。似ているというか、確信を持つ。
「理・・・・ですか」
なんだか変な日本語になってしまった。恥ずかしさを覚える。
「え、A・・・・？」
彼女は心底驚いたという表情だ。私はぶんぶんと縦に首をふる。青みがかった黒髪、可愛らしい大きな目と環に似た顔立ち。小さい頃よりも大きくなったけれど、そう変わらなく感じた。
中腰で話をしようとすると、理の方からハグをしてきたので、ギュっと私も抱き返す。
「環もずっと探してたんだよ。会えて良かった！」
理の髪の甘い香りがふわっと広がった。温かく柔らかい身体をそっと離す。
「兄ちゃんも・・・・・・。会いたい！」
「うん、すぐ連絡するからね・・・・あ」
スマホを取り出したときに、理の視線の向いた方へ私も向くと、九条天が驚いた様子でこちらを見ていた。
「よく会いますね、理とは知り合いなんですか？」
「あ、はい。何年か前までこの子と一緒に施設にいて」
施設の話はあまりしたくないな、と思いつつ理をちらりと見ると彼女は笑った。
「天お兄ちゃんと、世界一のアイドルになるために一緒に住んでるの」
『お兄ちゃん』、ね。複雑な思いになり、私の笑いも固くなる。立ち上がって視線を落とした。理はあの変なおじさんに引き取られ、目の前に居る他人の彼と兄妹になったわけか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつめみく - ええええ？！神！！すげーはまった！！なんか、たまきってめっちゃ可愛い！！今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー！！！がち可愛い！！！ (9月28日 16時) (
レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2018年7月13日 22時
