【四/葉/環】旅ができるなら【ア/イ/ナ/ナ】

#15　複雑 ページ16

「えっ、と。」

『天お兄ちゃん』のことを環に報告すべきなのだろうか。理は養子になっているわけだし、本当の兄とは暮らせないことは目に見えている。そのことを環はどう思うのだろうか。大きくなった理を見つめながら葛藤していると、理が話す。

「じゃあ、またね。いつでも家に来てよ！兄ちゃんも一緒に！」

「う、うん。じゃあ。」

風のように人混みに紛れていった二人を見送りながら環とのラビチャを眺めていた。感動的な再会のはずなのに、心のもやもやは消えなかった。




施設に戻り、一応環にラビチャを入れてみる。『休みっていつ？』と、さり気なくしてみた。急に要件を言って取り乱されないためだ。
環のグループは人気が出てきたらしく、そこから知名度を上げるために忙しいスケジュールを組まれているらしい。今はインディーズの『アイドリッシュセブン』の中の二人で『MEZZO"』というグループでデビューした。

それから環からの返信は真夜中に来た。疲れているのだろう、いつもより増して素っ気ない。

四葉 環次の日曜日
Aそっか。疲れてそうだし休養する日かな。急にごめんね

四葉 環うん、でもデートならいくけど

またからかわれた。付き合ってないのに。

Aデートじゃないけど・・・・。まあとりあえずお疲れ様、その日は休んでね。

それに既読がついて、トークは終わった。なんとなくあの事は言えなかった。変な気遣いが重なって言うに言えない。また次のときに絶対に言おう。兄妹共に会いたがってるから、絶対言わないと。

#16　訪い→←#14　再会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す