#12 視線 ページ13
「あ、アイドル、ですか」
身体が固まって顔が引き攣る。
「そう。僕に付いてくればここで養ってトップアイドルにしてあげよう。」
『約束する』と言ったおじさんに呆れてバックを抱きかかえて立ち上がった。おじさんにきっぱりと目を合わせて言う。もう私の将来は決まっている。
「私は小説家になるんです!アイドルにはなりません。」
そう言うとおじさんの顔が一瞬歪んだのが見えた。私はお辞儀をしてリビングを早足で抜けた。この人はおかしい人だ、と心で思いながら玄関から逃げるように歩いていった。
外に出て置いてあった自分の自転車を選ぶと、中から九条天が出てきた。ふっとそちらを見ると鞄につけてあったキーホルダーが切れていたようで、私に渡しに来たらしい。
「先程は失礼しました。」
よそよそしい感じで私に会釈をする。そして彼は優しい笑顔でキーホルダーを手渡してきた。
「あの、そういえば前にサインあげたことありましたよね」
「・・・・あ、はい。」
テレビで見たような芸能人スマイルが間近で見られるとは。それに覚えていてくれたんだ。少しキュンとする。毎週見てるドラマみたいだ。環もこんなファンサービスはできるのだろうか。
そんなことを考えながらお礼を言って家の敷地から出る。踵を返して何歩か歩き家の方をちらりと見やると二階の窓から女の子が覗いているのが見えた。目が合うと女の子は部屋の中へといそいそと入っていった。
「••••••理••••?」
ぼけっと見ていると九条天が不思議そうにこちらを見ているのに気がつき、私は少し会釈をして自転車で走っていった。
66人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なつめみく - ええええ?!神!!すげーはまった!!なんか、たまきってめっちゃ可愛い!!今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー!!!がち可愛い!!! (9月28日 16時) (レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2018年7月13日 22時