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#10 意識 ページ11

環とは学校でしか会えなくなった。同じクラスなので会話は結構するけど。そして最近は環は一織くんという男の子と話すようになっているのをよく見かける。同じアイドルグループらしい。私はあんまり話したことないけど、しっかりとした、クールで良い人な気がする。
当の私は友達も少なくて、やることは人目を憚って小説を書くことしかなかった。少し寂しい。私だって、わいわいと友達と遊んでみたい。
まぁ人付き合いは疲れる方なのでそこまで憧れることはないけれど。

今日は進路を考える時間もあり、担任と少し話をした。小説家になると言ったら少し笑われた。だけどとりあえず新人賞を目指して書いて、いい結果だったら真剣に考えてみたら、ということを言われた。新人賞というのは小説家を目指す若者の登竜門で、大きな文庫会社が毎年やっているものだ。
確かに、人の目に触れられるのは恥ずかしがって誰にも見せなかった。この機会に挑戦してみるのもいいかもしれない。

そのことを環に話してみる。

「ふーん。その新人賞っての取れば、小説家になれるの?」

屋上。お昼のデザートに王様プリンを二人で一緒に食べていた。

「んー、まぁ、文庫化されて売れるようにはなるかな。」

小説家は自分が肩書として名乗ってしまえば小説家だし、なれる、という定義は難しい。画家と同じように自分で好きなように創るクリエイティブな仕事は資格などはないから、私としては収入を得ていたら小説家、と名乗れるという定義にしている。

「Aの小説読んでみたい。未来の新人賞の小説」

「えー、気が早いな、恥ずかしいから賞取って文庫化されたらあげるよ」

そう言うと彼は、サイン付きで、と私の言葉に付け加えた。
少し図々しくて笑ったが十年来くらいの友人にはそうしてもいいか、と思った。

「そっちは?アイドルの仕事」

「思ってたよりたのしいよ。ダンス好きだし」
彼は王様プリンを口に運ぶ。最後の一口だったらしく、少し物足りない顔をしていた。仕方ないので私のプリンから一口あげる。少し満足げな顔をした。

「ん。ありがと。これ間接だね」

けろっと彼に言われ今の行動を思い返してみると、私は何も考えずに自分の使ったスプーンを使って食べさせていたのだ。
小さい頃はそういうことは深く考えなかったが、高校生にもなると意識してしまう。

「付き合ってるみたい」

羞恥心に追い打ちをかける環に少し苛ついて残りの王様プリンを全部あげた。

#11 怪我→←#9 友情



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なつめみく - ええええ?!神!!すげーはまった!!なんか、たまきってめっちゃ可愛い!!今まで三月推しだったから盲目すぎて三月にばっか結婚しようとかいっちゃってたけどたまきも推しになりそー!!!がち可愛い!!! (9月28日 16時) (レス) @page26 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年7月13日 22時

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