一寸先は恋【オリジナル】 (ページ5)

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4話ページ5

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「先生は、彼氏とか、いるの？
俗に言うリア充？」

俺は、一定のリズムで、シャーペンを机に叩きながら聞いた。

先生はちょっと考え込む素振りをしてから、
「まぁ……」
と話を切り出す。

次の言葉が気になりすぎて、
シャーペンの音は消えていた。

「そうね、リア充だと思う」

先生は不気味に笑った。

一瞬、時間が止まったような気がした。
しばらく目を合わせたあと、我に返って適当に言葉を紡いだ。

「ふ～ん、いるんだ、彼氏」
全男子生徒(俺除く)よ、
今を持ってお前らの夢は潰えた。
現実を見ろ。

「なあに？予想外だった？それとも残念だった？」

「別に……、どうでもいい」

「なにそれ！
私も来栖くんにだけは好かれたくないですよー！」

「勝手に勘違いしてろバカ」

俺のやるべきことは終わった。
あとは帰るだけだ。

窓から聞こえる部活動の声と、オレンジ色の空が、
俺を急かした。

「じゃあ、俺、もう帰りますんで」

「気をつけて帰ってね……って、このあほ！！
まだ終わってないでしょ！」

「じゃあ、また明日の補習で」

「もう！早く提出しないと評価しないからね！！」

先生の声に背中を向けて、俺は早足で学校を出た。

あいつ、まだ若いし20辺りだろ、
彼氏居るに決まってんのに。
けど、期待外れ、みたいな、つまんねーなとは思った。

それよりも、ちょっと悔しかった。
生徒の俺を前にして、ちょっと照れんのかなとか、恥ずかしがんのかなとか思ったら、
あいつはごく普通に淡々と答えた。

……なんだよ、俺がガキみてぇじゃねーか。

とにかく、あいつが気に食わない。