381話 ページ44
先の闘いで脇下が人体急所の一つであり、喰らった衝撃で肋骨を突き抜け、肺に至り、意識があっても、しばらくは呼吸もままならず、指一本動かせないことをわかっていた。
鯨「ガ…」
その瞬間、鯨波の脳裏に剣心の顔が浮かび、弥彦を地面に叩きつける。
鯨「バッ、トウサイ!!」
新「ああ!!」
その時、燕は息を切らしながら剣心のいる落人群に一人で来ていた。意を決して、中に入ろうと一歩踏み出す。
「ちょっと待った」
「こんな所に一人で何の用だい、お嬢ちゃん」
「ここは他所者無用の地」
「足を踏み入れるには、それ相当の覚悟が要るんだがねェ」
助けてほしい、その一心で燕は剣心のもとに行こうとするも、恐怖で踏みとどまってしまう。
「聞こえねェのか、嬢ちゃん。ここには他所者の来る所じゃねェ」
燕「剣…心さん…」
恐くて体が震える燕がやっとの思いで出た言葉であった。
「ケン…?」
「なんだ、あの新入りに会いに来たのか。だったら、尚更帰んな。会っても無駄だ。あそこまで、ゼミのヌケガラみてーになった奴はもうホントにどうしようもねェー」
その言葉を聞いた瞬間、燕は涙ながらに反論する。
燕「違います!剣心さんは、そんなんじゃありません!私の知っている剣心さんはいつも優しくて強い人です!!剣心さん!!」
「あっ、コラ!」
燕は決死の思いで駆け抜けようとすると、誰かにぶつかる。
隈「おっと!」
燕「離して!剣心さんに会わせて!」
「隈サン」
必死の抵抗する燕に隈は面倒臭そうな顔をする。
隈「ったく…またあのサムライがらみの来客かよ…」
剣心は未だ失意の中におり、近くにはオイボレが置いていった白梅香があった。様々な思い出が剣心の頭の中を巡っていた。
心「命を捨ててでも、守らなきゃと思ったんだ…」
比「お前は今日から剣心と名乗れ。お前には俺の
剣「時代時代の苦難から人々を守るのが飛天御剣流の理でしょう!今、この力を使わないで、いつ使うんですか」
剣「目の前の人々が苦しんでいる!多くの人が悲しんでいる!どんな理由があろうと、それを放っておくなど、俺はしたくない!!」
桂「では聞くが、その飛天御剣流で人を斬った事はあるか」
剣「いいえ」
桂「では、人を斬れると思うか」
剣「…自分の汚れた血刀と犠牲になった命の向こうに誰もが安心して暮らせる新時代があるんだったら………」
巴「よく惨劇の場を血の雨が降ると表しますけど、あなたは本当に血の雨を降らすのですね…」
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作者名：つっさん | 作成日時：2021年2月24日 16時
