35話 ページ35
その後、煉獄が自分の命と引き換えに守った若い芽の三人が、成長を誓う中、Aは煉獄の横で気を失った。
――ごめん、実弥。
――必ず、また会えるから。
そう心の中で愛おしい彼を思い浮かべて、地面に倒れ込んだ。
煉獄の訃報は直ちに産屋敷と柱たちへ伝えられた。
悲しみを隠せない者、言葉を失くした者、衝撃を受けた者、目を背けた者、涙を流した者、鬼を殲滅すると誓う者、ただ受け入れた者。
実弥はAが運ばれた蝶屋敷に急いで向かった。
煉獄の訃報時には何も伝えられなかったが、蝶屋敷にAが運ばれた際、改めて各々に報せが届いたのだ。
鬼を殲滅すると誓った実弥は、大急ぎで入るなり、しのぶに案内させた。
そこにはすでに宇髄や甘露寺、伊黒が駆けつけていた。
視線の先には、たくさんの管に繋がれたA。
「状態はァ?」
「こちらに運ばれた際、多臓器損傷が見られ、両腕、左足、鎖骨、肋四本、背骨、骨盤の骨折。
そして、心臓が破裂していました」
「っ」
「今では何とか本人の無意識の止血と、手術で何とか無事に処置は出来ました。
が、峠はこれからです」
そんなAの状態に、実弥はしのぶに詰め寄った。
「何とかならねぇのかよ!!」
「っ」
「落ち着け不死川!」
咄嗟に、伊黒は甘露寺やAにも被害が向かないように庇うように立ち、暴れそうな実弥を宇髄がしのぶから離した。
「……血が足りず、彼女自身が貯めていた血を流し入れてます。
それでも、脈は安定していません。
後は、私からできることは、ありません」
その言葉に実弥は叫びそうになった。
今回の任務に行く前に気持ちを伝えたばかりだった。
先日のように、死にかけることがあっては、怖いから。
それを実感したはずなのに、また、Aは死にかけている。
「クソっ!!!!」
Aは目覚める様子は無く。
実弥は泣きたくなった。
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作者名:やぁと | 作成日時:2021年10月19日 21時