第4話 ページ49
正直、藤原Aにとって今までの人生とは、黒歴史そのものである。
つまりは、昔の事なんて、ましてや中学生のことなんて思い出したくなかった。
それでも過去というのは、良いも悪いも関係なく全てずっと、生きている限りついてくるものであり、時には掘り返されるものである。
『セブンテイーン』という雑誌がある。
その文字通り、17前後の年齢の女子に向けた所謂ファッション雑誌だ。
Aはそのファッション雑誌のモデルの1人だった。それも人気投票ではかなり上位の。
中学を卒業するまで、Aはセブンテイーンのモデルとして活躍していた。セブンテイーンが17歳向けの雑誌とはいえ、ませた小学生も呼んでいるわけである。
当時応援し、憧れていた人間が目の前に現れたらどうだろうか。
無論、なつく。
「それで懐かれたわけか」
まだヒーヒーと腹を抱えている真希に、笑いすぎ、と、Aは溜息をついた。
被呪術者、上橋菜穂子のAに対する態度は昨日よりとは全く異なっていた。いっそ反転した、と言っても良いだろう。
上橋は尻尾を振る犬のごとく、元モデルであったAに懐いた。
「良かったじゃねぇか」
「しゃけ」
「良くない良くない」
何が悲しくて黒歴史を蒸し返さなきゃいけない訳。頬を膨らませて言った。
真希が言う。
「こっちは特に何もなし。棘は」
「明太子。おかか」
「こっちも棘と同じでなんもおきなかった」
「うちもなんも」
なんもなかった。とAが言ったのは昨夜の事。昨夜、何か可笑しなことがあったか、否か。
連日に及ぶ、仮想怨霊アイヌイカイセイの仕業だと思われる事件。実際村には呪霊の気配がある為呪霊の仕業で間違いがないのだが。
「全員、襲われなかったってこと?」
「みたいだな」
村の若者全員、昨夜は襲われなかったようだ。
「Aの結界に勝てなかったってことか?」
「よっぽど弱いって事になるな」
「しゃけしゃけ」
「皆ひどいなぁ」
しかし、強く反論は出来ない。自分が弱いのは事実であるし、パンダが言った事が本当であればそういう事になるからだ。
「
パンダのその問いにAは首を振る。
生きていればその跡が残る。大きな、社会的、世界的な跡でなくても、生きていれば生きたところにひっそりと生きた証が記されていく。それの呪いバージョンが
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます! これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください! (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます! (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作!? ありがとうございます! 嬉しいです!! コメントもありがとうございました! (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀`)bグッ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゆ | 作成日時:2020年10月28日 22時