第4話 ページ50
Aは昨日、村全体に結界を張った。その際に残穢がどの様についているか、確認もした。
が、しかし。
「これだっ、っていうか、強っぽいの? は確認できなかった」
上橋さんに話しかけられながら、結界を張りながら、ってのもあるからちゃんと確認できたかって言われたらそうじゃないんだけど、と続けざまにそう言えば、それでも、とパンダが言った。
「それでも強いものだったらAでも確認できんだろ」
「まあね」
やはり、と、黙った4人は考える。
やはり、この村で問題を起こしている呪霊は弱いのだろうか。
とりあえず夜は先の様に被呪術者の守護、昼は残穢の確認と呪霊について何かヒントとなるものを調べることで話はまとまり、解散となった。
「あ」
お手洗いを梅森宅で借りたAの目の前には、1人の男子中学生――――梅森少年。
村長、梅森の息子だろう男子が、先程までA達が飲んでいたお茶の湯飲みを片付けている。
梅森少年は、ペコリと頭を軽く下げる。
丁度良い、と思った。
「良かったら、話、とか聞きたいんですけど」
特に深い意味はない。ただ、何か有益な情報が聞けたらいいな、そんな思いで梅森少年に話しかけた。
しかし、梅森少年の方は驚いた様に眉を上げた。え、と彼の口から声が漏れ出る。
「あ、えー、時間がないんだったら……」
その反応に慌てて「無理しなくても大丈夫です」と付け加えた。
「いえ、まだ学校まで時間ありますし」
その部屋で待っててください。これ片付けちゃうんで。そう言って梅森少年は4つの湯飲みを盆に置いて、持って行った。
「これは――――」
「この村の、オカルトにまつわる事件とかをまとめたファイルです」
梅森少年――――梅森龍太はそう言ってAの目の前に一冊のファイルを置いた。
許可を得てから開いて読むと、内容は結構専門的である。
Aはファイルを読みながら龍太に聞く。
「こういうの、好きなんですか?」
「はい」
即答だった。
しかし、すぐに小さな声ですみません、と返ってくる。
その様子を見て、Aは苦笑する。
「謝らなくても大丈夫ですよ」
「あの、あなた方もオカルトに、興味があるんですか」
「え?」
「え?」
ああ、とAはすぐに首を縦に振った。
A達が呪術師だという事は、村長の梅森老人しか知らない。
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しゆ - 続編が出ました。更新速度は遅いですが、よろしくお願いいたします。 (2021年3月18日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - 山田憂さん» コメント、そして温かいお言葉……ありがとうございます! これから寒くなる季節、山田憂さんも体調には気を付けてください! (2020年11月3日 16時) (レス) id: 0614066502 (このIDを非表示/違反報告)
山田憂 - 夢主とキャラクターの細やかな心情が刺さりました…。体調に気をつけてお過ごし下さい。応援してます! (2020年11月2日 13時) (レス) id: 2e6603876c (このIDを非表示/違反報告)
しゆ - チベットスナギツネさん» 神作!? ありがとうございます! 嬉しいです!! コメントもありがとうございました! (2020年10月30日 21時) (レス) id: 311275af3f (このIDを非表示/違反報告)
チベットスナギツネ - 神作・・・言いたいことは、それだけです。( ´∀`)bグッ! (2020年10月29日 23時) (レス) id: 4fb9137dc8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゆ | 作成日時:2020年10月28日 22時