第三十話 憤り ページ37
*
夕焼けが、部活終わりの喧騒に包まれる中学校を照らしている。
私が新田さんに頼んだ"寄り道"は、さいたま市立浦見東中学だった。
「こんなトコ来て、何すんの?忘れ物?」
車をおりて校門の前に立った虎杖くんが、不思議そうに私を振り返った。
野薔薇ちゃんと新田さんも続けて車をおりる。私は虎杖くんの横を通り抜けて校内へと足を踏み入れ、ふわりと呪いの気配を吸い込んだ。
『…私って、実は伏黒くんにナメられてたりするのかな』
「はぁ?」
背後から、野薔薇ちゃんの呆れ返った声が聞こえる。部活帰りの中学生たちが、明らかに他校の人間である私たちを横目で伺いながら通っていった。
あー、どうしよ。うん、ちょっと腹が立っている。
伏黒くんのあの態度、あの言い訳。いや言い訳ではなく、"私たちが任務から外された"ことは事実なのかもしれない。…でも。
『任務の危険度が吊り上がったから他の術師に引き継がれるってさぁ…本っ気で言ってます!?これでも私、1級ですけど!?』
なに、お義兄ちゃんでも連れてくる気なの!?もしくは七海さんとか、冥さんとか!?そんな危険な案件ですかね!?!?
一息に言い切って、ゼーハーと肩で息をする。中学生たちがギョッとした目で私を見た。
「ちょ、Aさん落ち着いて…!見られてるっス!」
新田さんの制止に片手を上げて答える。虎杖くんと野薔薇ちゃんが、うんうん、と強く頷いてくれた。
大体、この時期に手の空いてる、唐突に任務が来てすぐ対応できる一級以上の術師が居ると??答えは否。そんなの学生である私と東堂さんくらいだ。でもって東堂さんは京都。
「そーだよな!伏黒は俺らのことをナメている!」
「ふざけんじゃないわよ、天才気取りかあの男」
『…ってわけで、ちゃっちゃと仕事片付けようかと思いまして』
私はポケットから取り出したスマホを新田さんに投げた。慌ててキャッチした新田さんが、画面を覗いて首を傾げる。
「Aさん、この内容ならさっさと東京戻った方が良いんじゃないスか?」
『新田さんもナメ腐ってますか??』
「ナメてないっス!!!」
いや、分かってる。新田さんは純粋に言っただけだ。
私は新田さんからスマホを受け取り、もう一度その画面を見た。映し出されているのは、ついさっき届いた伊知地さんからの新しい"任務依頼"。
"呪術高専で保護している少女・伏黒津美紀の護衛"。
今、手の空いている術師が2級しかいないため、いったん今の任務を降りて東京に戻り、護衛に切り替えてほしいという内容だった。
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五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
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