第二十九話 伏黒 ページ36
*
私、虎杖くん、野薔薇ちゃんは藤沼さんたちの姿が見えなくなるまで見送ったあと、3人揃って伏黒くんの顔を覗き込む。
案の定、目を見開いて苦しげな表情を浮かべていた。
「おい、伏黒!まずは安否確認だろ!」
虎杖くんが伏黒くんの肩を掴んだ。ハッと顔を上げて私と目が合うと、またグッと奥歯を噛んで顔を歪める。
「…悪ぃ。ちょっと外す」
そう言って私たちから少し離れると、何処かに電話をかけ始めた。
「大丈夫かしら、アイツ…」
『大丈夫じゃないよ。伏黒くんにとって、唯一の家族だからね』
たった1人の家族を失くす苦しみは、痛いほどによく分かる。だからこそ、伏黒くんには失ってほしくなかった。
私は津美紀さんと直接の面識は無い。それでも、必死に津美紀さんの呪いを解く方法を模索している伏黒くんを見れば、嫌でも情が湧いた。
津美紀さんには生きていてほしい。願わくば目を醒ましてほしい。
ねぇ、津美紀さん。伏黒くん、中学の頃から変わったんですよ。喧嘩なんて滅多にしなくなったし、むしろ人を助けるようになりました。義務感とか呪術師だからとか、そんなのじゃなくて、きちんと伏黒くんの意思で。
伏黒くん、すっごく格好よくなったんです。だから早く目を醒まして、「すごいね」って褒めてあげてください。
電話を終えた伏黒くんに、虎杖くんと野薔薇ちゃんが声をかけた。
「なんで伊地知さんに電話してんの?」
「津美紀の姉ちゃん無事だったか?」
「問題ない。ただ、任務の危険度がつり上がった。この件は他の術師に引き継がれる。お前らはもう帰れ」
伏黒くんが携帯電話を仕舞いながらぶっきらぼうに答える。
…任務の危険度がつり上がって、他の術師に引き継がれる、ねぇ…。
私は軽く眉を上げると、『そっかぁ』と立ち上がった。
「お前らって、伏黒は!?」
「俺は武田さんに挨拶してから帰る。ほら、さっさと行け!」
なお食い下がろうとする虎杖くんの背中を押して、私たちを新田さんの車の後部座席に押し込むと、伏黒くんは1人でさっさと歩きだした。
「んー、ちょっとうまいこと飲み込めないっスけど、とりあえず君たちをホテルまで届ければ良いんスかね」
呑気に車を発進させようとする新田さん。
『あ、ちょっと待ってください!寄り道してもらって良いですか?』
「寄り道ぃ?」
私は身を乗り出すと、運転席の新田さんに、行き先を耳打ちした。
*
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーアルファベット
X
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
今日の名言or名場面
五条「強くなってよ。僕に置いていかれないくらい」
112人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ