第8話 ページ9
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昨日はよく眠れた。
朝食を食べ、これからの仕事について説明を受けた。
文書の整理や簡単な確認など、様々な仕事内容があったが
今まで 食堂でいろんな人の注文を一気に覚える技を身につけていたため、覚えるのに苦労はしなかった。
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「では、この書類の誤字脱字が無いかの確認をお願いします」
私は書類の確認作業を行っていた。
元々 本を読むのが好きだったため、文章を読むのは早い方だと思う。
積み重ねられていた書類だったが、
いつの間にか終わりかけていた。
そして
「ジャーファルさん。見終わりました。
誤字脱字のあった書類は三部でした」
「えっ、あ、はい…ありがとうございます…」
「他にすることはありますか?」
「えーと…」
頭を捻らせているジャーファルさん。
「失礼ながら、こんなに早く終わるとは思っていませんでしたので、
仕事はもう皆さんに振り分けてしまっていて…」
「でしたら、王宮内の清掃を」
「それはありがたい。
是非 よろしくお願いします」
一応、国の建物のため、
みだりに色々な部屋に入らないという約束をし
廊下、及びその近辺の清掃、拭きあげ
をすることに。
掃除は大変だけど、
綺麗になるととてもすっきりするから好きだ。
「…よしっ、と…
でもまだ半分もいってないよな…」
さすが王宮、広さが馬鹿にならない。
水の入った少し大きめの桶型の木樽を両手で持ち、廊下の先に進もうとした時
____ ドンっ!
急に背中に衝撃が加わり、水の入った重たい木樽はそのまま私の体と一緒に前に倒れた。
バシャーン!と水が勢いよく流れ出て
じわじわと絨毯の中に水が染み込んでいく。
「えっ、あっ…どうしよう……!」
急いで持っていた雑巾で水を拭き取るが、
そんなのお構い無しに水はどんどん吸い込まれていく。
「あーあ、やっぱり庶民は鈍臭いのね」
「私たちだったらこんな初歩的なミス、しないわよ」
「底辺の庶民がいい顔ばっかして、恥ずかしいと思いなさい!」
振り返ると、私と同じ服を着た3人の女性がいた。
顔付きがそれぞれ違うため、姉妹ではなさそうだ。
どうも私は、この人たちに倒されたらしい。
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作者名:じゃこたま | 作成日時:2019年1月28日 6時