あの人は変わった【過去編・番外編4】 ページ34
何用って。
あの子の為に。
百合「貴女を取り戻しに来たんですよ」
百合は、女の手を掴みきつく握った。
キツく握られて女は痛さで顔を歪めた。
雪「取り戻しに来たって?」
雪は、なぜ赤の他人のこの少年がここに居るのか…
なぜ、自分たちに関わってくるのか…
今関わればなにをされるか分からないのに…
様々な思考が女の頭の中を交差する。
そんな色々考えている女を他所に百合はキツく握っていた手を離した。
それから目を細め団子屋の椿が立っている方へと目を向けた。
百合「貴女の行くべき…いや、帰るべき場所はあそこです」
そう言われ吊られて女も目を向ける。
すると、女の目から涙が溢れ出た。
百合「お前の行くべき場所はあそこだ」
言ってもなお、女は躊躇っている。
百合「行け」
再度、急かすとようやく女は走り出した。
擦れ違いざまに百合はボソッと女に告げた。
百合「ボソッ)話がある。そこで待っていろ。直ぐ片ずける」
女は一瞬驚いた表情を見せたがやがて、覚悟を決めたように走り出した。
突如、走り出した女の後を男は追いかけようとする。
武士1「おい、待て!」
百合「行かせはしない!」
追いかけようとした男の行く先を百合は遮る。
百合「男がか弱き女を追いかけ回すなど…」
男の真先に百合はたった。
武士1「貴様…邪魔立てする気か!?ならば切る!」
シュッ
武士は刀に手をかけやがて抜いた。
百合「武士は短気な人が多いんだな」
百合は嘲笑った。
武士は当然の如く怒る。
武士1「貴様…!」
地から何か這い上がって来そうな声音で言った。
そして急に百合の顔は渋っ面になった。
百合「お前の相手はこの俺だ」
【次回あの人は変わった過去編番外編5】
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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時