あの人は変わった【過去編・番外編2】 ページ32
雪「えぇ。そうですけど」
男に問いられた女は答える。
その時。
?「誰かー!その盗っ人を捕まえてくれー!」
そう叫びながら、こちらへ一人の商人が凄い勢いで走ってきた。
誰かを追いかけて来たのだろうか?
それにしても、盗っ人とはどういう意味だろう?
武士1「どうした?」
走ってきた商人の男に武士は聞いた。
商人「はぁ、はぁ。そ、其奴がうちの店のもんを盗んだんですよ!」
言ったと同時に商人は真っ直ぐ、女の子を指差した。
盗んだ?
この子が?
武士1「それは、誠か?」
商人「はい」
武士が機嫌が悪かったのが更に。
武士1「貴様…ぶつかっといて謝りもしない。挙げ句の果てに物を盗んだだと?女!?この子供の教育がなってないんじゃないのか?さぁ、どうしてもらうか?」
ニタリと不気味な笑みを浮かべ男は、女に言った。
嫌な、予感がする。
雪「お、お許しください!どうか!この子だけは‼︎」
女は必死で謝る。
武士1「それはできねぇな」
雪「そんな!?」
断られてもなおを、女は言う。
それじゃあと、
武士1「そんなにこの子供を助けたいんなら…そうだなぁ。あんた、よく見ると以外と良い女だ。良し。我らに酌をしたら許してやろう」
嘘だ。
あの男がその程度で許すはずがない。
口では、言っていても口と目が笑っている。
雪「本当ですか!?」
女はその上手い話に食いついた。
武士1「あぁ」
男はまた、あの気味の悪い笑みを浮かべた。
女は後ろを振り返り男の腕から解放された女の子の手を握った。
雪「椿。ちょっとここで待っててね」
団子屋の店の前で女の子を立たせると女は男の方向へ向いて歩き出す。
それまで黙っていた女の子は遠ざかって行く女の背を見つめ、走り出そうとした。
百合「まったく、面倒な事を」
本来、鬼は人間の事など興味がないのだがこの時ばかりは仕方がない。
そう思った百合は、人混みを掻き分け早足で女の子の元へ向かった。
【次回あの人は変わった過去編・番外編3】
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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時