第五章〜変苦水〜 ページ17
父上「単刀直入に聞くがお前は”変苦水“とい物を知っているか?」
百合「変苦水?」
聞きなれない言葉に首をかしげる。
百合「あの、父上その変苦水と言うのは一体なんなのですか?」
我の質問に答えるために父上は説明し出した。
父上「実は、私も詳しくは知らないのだが、なんでも西洋から取り入れられた。医薬品らしい」
百合「西洋から取り入れた…」
雪「それを飲むとどうなるのですか?」
父上「なんでも、体力が増え、刀を振るったらとても強くなるというものだ」
火龍「ヘェ〜、そんなにいい物だったら、俺も飲んでみたいねぇ」
父上「まぁ、ここまでいえば良い話にも聞こえる。だが…」
父上が話の途中で間を置いた瞬間、目を逸らした。
父上「これを、一回飲んだら羅刹という化け物に変わり、血を求める衝動に苦しめ続けられ、その力を使うたびに生命がどんどん削られていくそうだ。そして、その最後には、灰となって消える」
淡々と、話終えた父上。
そこで、会話は途絶えた。みんな下を向いて黙り込んでいる。
そんな、静寂の場を百合が破った。
百合「父上」
百合は真っ直ぐに父の顔を見る。
父上「なんだ」
そんな自分の娘に答えるように、父も真っ直ぐ見返した。
百合「その変苦水と羅刹の事を私に調べさせてはもらえませんか?」
大きな声でそう言った。
父上「お前がか?」
百合「はい」
すると、父は手を顎に当てて何かを考えるような仕草をした後首を縦に振った後こう言った。
父上「分かった。この件はお前に任せよう。頼んだぞ」
百合「はい!頑張ります!」
父の言った言葉に百合は大きく返事をした。
百合「失礼いたしました」
入ってきた時と同じようにゆっくり閉める。
百合は長い邸の廊下を歩きながら変苦水と羅刹の事について考えていた。
百合「(羅刹…変苦水…か」
百合「(知っているかどうかはわからないが一応、あやつにも聞いてみるか)」
百合は後ろを振り返ってこう言った。
百合「おい!お前たち今から、風間邸に行くぞ!」
雪「え!?今からですか!?」
火龍「そんな急に!?」
百合「なんだ。文句あるのか?なら、言ってみろ」
百合は、部下を睨み冷たく言い放った。
雪「い、いえ。でも、ありません!」
百合の視線に気づいた雪は慌てて言い直す。
火龍「同じく!」
火龍も雪の意見に同意する。
百合「では行くぞ!」
百合は部下に微笑んでから、風間邸に向かうために足を踏み出した。
【次回風間邸】
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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時