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第五章〜雪の温もり〜 ページ15

雪「ほんっとに!ほんっとに!無事で良かった」

雪がそう言った時、俺を抱き締める雪の手の力が強くなった。
少し苦しい。だが、このままでいてやろう。
多分、いまは何か言っても放して貰えないだろうから…

ぽつん

上から降ってきた"何か"百合の膝に当たった。
色は透明。
雨か?でも、周りに雨が降っている音などしていない。となると…涙か…

百合は雪の顔を見る為そっと顔を上げた。
雪は静かに泣いていた。

雪「私、百合様がいなくなったらどうやって生きていこうとも思いましたからね!」

雪が声を張り上げ言った。
抱き締めていた手を放して、雪は私と同じ目線で話す。

百合「ご、ごめん」

雪「良かった…」

雪は俺の事を自分の本当の家族の様に慕ってくれる。そんな、雪に心配をかけた事に申し訳なく思ってしまう。

俺は雪の中に顔を埋めた。

雪「泣いても良いんですよ?」

雪が優しく声をかけてくれた。
ここは、雪の言う通りにしよう。
俺…いや、私は声を上げて泣き始めた。
こんな時ぐらい素に戻っても良いよね?







そこから、百合は雪の中で声を上げて泣いた。
何分、何時間経ったのかわわからない。
だが、すでに東の空が明るくなり日の出が出ていた。

百合「グスッ」

雪「さぁ、百合様帰りましょう。百合様のお父上様や里の者たちも待っていますよ?」

泣き疲れている我に雪は手を差し伸べた。

火龍「早くかえろうぜ!」

泉「俺も、火龍の意見に同意だ」

俺は二人の言葉に頷いてニッコリ笑ってから

百合「あぁ!帰ろう!」

そう言った。

百合「火龍!椿の事を頼んだぞ!」

火龍「了解」

火龍は眠っている椿を優しく抱き抱える。

その様子を見て百合は再びこう言った。

百合「さぁ!帰ろう!」

帰り道に百合はチラッと雪の方を見た。
その顔は日の出に照らされてよく見えなかったものの、優しく微笑んで、いる事だけはわかった。


【次回父上に呼び出されて】

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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時

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