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第九章〜迷子?〜 ページ29

チビ百合『もう!父上の馬鹿!せめて、入る時声をかけてくれても』

そう言い、走っていた足を止めた百合は上を向いた。

チビ百合『暑い…』

上を見れば、視界は青一色に染まった。

チビ百合『どうりで暑い訳だ。でも、雨降が降っていたらずぶ濡れだ』

季節は秋。
雲ひとつない青空と、ギンギンと照りつける太陽の暑さが百合を襲う。
秋とは思えない温度だ。

チビ百合『ここはどこだ?』

視線を元に戻してあたりを見てみると、青一色から緑に染まった。
周りは木で埋め尽くされている。
それはもう樹海だ。

チビ百合『私は迷子なの?』

冗談じゃない!
こんな気味の悪いところで一生過ごすなど考えただけで恐ろしい。

_______ツゥと、百合の頬に冷たい物が流れた。

チビ百合『父上…』

百合は膝を曲げて地面に座った。
それから父の事を考える。
そこから浮かぶのは、笑顔の父上の顔。

チビ百合『別に私が悪いんじゃないもん』

父の笑顔を思い出していたら、唐突に自分が何に怒っていたのがを思い出した。

チビ百合『だって…だって、あれは父上が悪いんだもん!』

そう叫ぶと、涙が一気に溢れ出した。
涙で視界が歪む。
あぁ、きっと今自分の顔はひどい顔になっているだろう。

チビ百合『誰が…助けて。私を…見つけて
…!』



樹海に閉じ込めらた少女は叫ぶ。
その叫びに気付いた誰かがこちらへ向かって来る足音が聞こえた。
その足音に気づいた少女は、涙で濡れていた眼を手でこすりゆっくりと立ち上がった。


【次回女の子】

第九章〜女の子〜→←第九章〜甦る幼き頃の記憶〜



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作者名:如月輝夜 | 作成日時:2016年9月16日 21時

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