僕たちの帰る場所2 (ページ4)

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ゆずれないものページ4

ab side

sk「ねえねえねえ、これ見てよ」
佐久間がスマホを突き出してくる。
その画面に表示されていたのは、いわゆるグルメレビューサイトだった。

ありがたいことに、そういったサイトでもZuhauseの評価は好調だ。
もちろん、料理、お酒、インテリア、接客とそれぞれの得意分野を生かせているから、クオリティに絶対の自信は持っている。けれど、それでも、目に見える形で評価をしてもらえるのはすごく励みになる。

いつもは例のメンバーカクテルや料理を褒めてくれるコメントが多いんだけど、佐久間が指したコメントはちょっと毛色が違うようで…

『店員さんがみんなイケメンです。一人一人のキャラクターも個性的で、仲も良く、まるでアイドルグループを見ている気分になります。
友達と一緒に、それぞれの推しの店員さんのカクテルを飲んで来ました』

sk「アイドルだって、ウケる」
「おれそんな柄じゃないんだけど…」
sk「えー、阿部ちゃんあざといスマイル得意じゃん」
「そういうことじゃない」

そんな話をしていると、ふっかが輪に入ってきた。
fk「どしたー？」
「サイトの評価コメントでさ、俺らのことイケメンでアイドルみたいだって」
fk「なんだそれ。まあ人気が出るのはありがたいことなんだけどさ。最近売り上げの伸びも鈍化してきたし」
そう言って頭を掻き、悔しそうな顔をするふっか。

そうなのだ。
ふっかも前に言っていた気がするけど、オープン直後の混雑が落ち着いた今、Zuhauseは勝負の時を迎えている。
しかし、コンスタントに売り上げを伸ばすのは思った以上に難しく、ふっかはコスト削減を考えているようだった。それで、最近は会計担当の俺に相談を持ちかけることが増えていた。

fk「阿部ちゃん何かいいアイディアないー？」
「とは言っても、固定費はどうしようもないからな…原材料費か人件費か…どっちにしても辛いものがあるな」

fk「とりあえず、原材料費の件、舘さまと照に相談してみよっか」

勝率100%のふっかが浮かない顔をしているなんて、何だか嫌な予感がするな…