みせる男、みえる男 ページ15
sk side
ついに3曲目の練習が始まった。
中学の学園祭のステージで踊った曲。俺たちにとって絶対に忘れられない思い出の曲であり、ふっかが持ってきたネクタイもこの時の衣装だ。
あの時最初に学園祭に出ようと言い出したのは、意外にも阿部ちゃんだった。
ab「あのさ、一個提案があんだけど…学園祭のステージ企画に出ない?」
「お?阿部ちゃんがそんな提案するなんて、明日雪降るんじゃねーの。どして急に?」
ab「うーん別に、なんとなくの思いつき」
阿部ちゃんはそう誤魔化したけど、今思えば、親御さんにダンス部のことを認めてもらうために、なにか具体的な功績が欲しかったんだろう。
というのも、俺たちの中学では例年、学園祭のステージの中から観客の投票で最優秀賞を決めるイベントをやっていたんだ。俺たちも、おそらく阿部ちゃんの思惑通り、出るからにはこれを狙おうという流れになった。
iw「今までの最優秀賞ってどんなのだっけ」
fk「去年はバンド、その前はお笑いライブだったらしいよ」
ab「やっぱ盛り上がるのが重要なのかなぁ」
早速始まった曲目決めの話し合い。
派手で盛り上がれる曲ってことで話がまとまりかけたんだけど、何故か翔太が浮かない顔をしていた。
dt「翔太どうかした?」
そして、舘さまの問いかけに答えて、意外なことを言い出したんだ。
nb「うーん、盛り上がるのもいいんだけど、なんか埋もれちゃいそうな気がしてさ。
せっかく部活としてやってるわけだし、もっと圧倒的なクオリティで観客を惹きつけるようなステージの方がいいと思う」
ゆっくり、自分自身の頭も整理するかのように言葉を紡ぐ翔太。その言葉が転換点になって、俺たちはあえて思いっきり背伸びしたオシャレな曲で勝負をかけることに決めたんだ。
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作者名:わかめ | 作成日時:2020年1月27日 9時