ヨコハマギャングスタアパラダヰス -3- ページ23
「そういえば、皆さんは探偵社に入る前は何を？」
単なる好奇心で不意に敦が思い出したようにそんなことを云った。
一同はシンと静まり返る。
「？」
「何してたと思う？」
太宰が逆に聞き返した。
「へ？」
「なにね、定番なのだよ。
新入りは先輩の前職を中てるのさ」
「はぁ……じゃあ、」
敦は少し考えると、まず正面に座っている谷崎兄妹に目を移した。
「谷崎さんと妹さんは……学生？」
「おっ、中ッた。凄い」
「どうしてお分かりに？」
「ナオミさんは制服から見たまんま…
谷崎さんの方も歳が近そうだし、勘で」
まだこの辺りは序の口だ。
「やるねぇ。じゃあ国木田君は？」
「止せ、俺の前職など如何でも────」
「うーん……お役人さん？」
「惜しい。
彼は元学校教諭だよ。数学の先生」
「へえぇ！」
敦が感嘆の声をあげる。
「昔の話だ。思い出したくも無い」
「でも国木田さんの教え方、解りやすかったですよ」
少し前、Aが積の計算に頭を抱えていた時に教わった。
それ以来、二桁掛ける一桁迄は暗算が出来るようになったのだ。
「(国木田さんが先生…
何か納得……って云ったら投げられるな)」
すると、今度は太宰が自分の顔をぴっと指差した。
「じゃ私は？」
「太宰さんは……」
太宰を観察したまま、敦は少し悩むが
「(想像もつかん……！)」
想像もつかないようだ。
「無駄だ小僧。
武装探偵社七不思議の一つなのだ、こいつの前職は」
「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」
「そうなんだよね。
誰も中てられなくて懸賞金が膨れ上がってる」
「俺は溢者の類だと思うが、こいつは違うと云う。
しかしこんな奴が真面な勤め人だった筈がない」
親指でピッと太宰を指した国木田の話は右から左へ。
「…ちなみに、懸賞金って如何ほど？」
敦はとことん金の話に弱いのだ。
太宰はそんな敦にふっと笑みを浮かべた。
「賞金は今───七十万だ」
云った途端、敦がガタッと音をたてて立ち上がった。
七十万という大金を聞いて、目の色が変わった敦にビクゥ！と谷崎が驚いて肩を揺らしたが、そんなのお構いなしだ。
「中てたら貰える？本当に？」
「自 殺主義者に二言はないよ」
敦は珍しく真剣な表情を見せる。
現在無一文の男
目の前の賞金七十万に燃える────
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水無月碧音(プロフ) - 蓮（ルイ）さん» 覚えました！宜しくお願いします。最近少し忙しいですが次からは続編なので頑張ります！ (2018年5月7日 23時) (
レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
蓮（ルイ） - 名前が変わっていると思いますが一応ルイです！これからは蓮です！更新楽しみにしています！ (2018年5月7日 23時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - ルイさん» ありがとうございます！暇つぶしで描いている絵を褒めていただき嬉しいです！頑張ります (2018年5月4日 18時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 絵が凄いです！驚きました！更新楽しみにしています！ (2018年5月4日 14時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
水無月碧音(プロフ) - 神無月碧依さん» そう言って頂き嬉しいです！頑張りました(笑) (2018年3月7日 17時) (レス) id: f79b747f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水無月碧音 | 作成日時：2018年1月1日 22時
